旅行業公取協、16年度も規約遵守を徹底、会員獲得も
旅行業公正取引協議会は6月28日、第32回の通常総会を開催した。会長を務めるワールド航空サービス代表取締役会長の菊間潤吾氏は冒頭の挨拶で、公正競争規約の成立以来、旅行会社が消費者庁から景品表示法違反による措置命令を受けていない点を評価。4月1日から課徴金制度の導入を盛り込んだ改正景品表示法が施行されたことについては「今後は課徴金制度を念頭におきながら、規約を遵守して適正表示に取り組んでいく必要がある」と強調した。
課徴金制度は、不当な表示をおこなった事業者に対し、個々の商品またはサービスなどで5000万円以上の売上があった場合、その3%を課徴金として徴収するもの。菊間氏は旅行商品の売上規模の大きさなどを踏まえ、「旅行業界にはあまり影響はないのでは」との考えを示しつつも、「今後も引き続き規約の周知徹底と適正運用をめざし、事業を進めていく」と語った。
16年度の事業計画では、「旅行広告の適正化の推進および関係法令の普及」「協議会組織および運営基盤の強化」「広報活動の強化」の3点に取り組む。旅行広告の適正化の推進と関係法令の普及については、公正競争規約の周知徹底に努め、「公正競争規約説明会」を引き続き開催する。
協議会組織と運営基盤の強化については、日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)の協力のもと、新規会員の獲得をめざす。旅行業公正取引協議会によれば、16年3月31日時点の会員数は前年から4社増の338社。15年度は事業の縮小や廃止、統合などで8社が退会したほか、会費の未納により1社が除名。13社が新たに加入したという。
このほか、事務局などの人材育成や、関係官公庁、全国公正取引協議会連合会、消費者団体などとの情報交換に努める。なお、全国公正取引協議会連合会が6月13日に開催した定時総会において、菊間氏は副会長に選任された。旅行業公正取引協議会の会長が副会長に選ばれるのは、今回が初めてという。
広報活動の強化では、引き続き協議会と会員各社が適正表示に真剣に取り組んでいることをアピールするため、協議会マークまたはロゴマークのいずれかを旅行パンフレットなどに掲載。消費者に対する広報活動では「ツーリズムEXPOジャパン」への出展やメディアでの告知、自治体や大学などでの出張講座などをおこなう。
なお、今回の総会では公正競争規約(景品・表示)の一部変更についても決議。改正景品表示法の施行で、同法における公正競争規約の根拠規定事項が第11条から第31条に変更されたことを受けたもので、これに合わせて運用上不具合のあった文言などを修正。今後は消費者庁や公正取引委員会に提出し、承認を得た上で変更する。変更時期は現時点では未定とした。