チーム・ヨーロッパ、16年は「美しい村」強化、欧州文化首都も
日本旅行業協会(JATA)のTeam EUROPE 観光促進協議会(チーム・ヨーロッパ)は6月24日、都内で2016年度のキックオフ・ミーティングを開催した。今年は「OTAとバッティングしない商品企画力(造成力)と、接客販売スタッフの販売力の強化」をめざすほか、「ヨーロッパのカントリーサイド」をテーマに、15年に選定した「美しい村30選」のプロモーションを強化。さらに、17年の欧州連合(EU)の「欧州文化首都」に選ばれた2都市のアピールなどもおこなう。観光局や航空会社などの協力により、ファムツアーにも注力する予定だ。
冒頭に登壇した同協議会の委員長でグローバルユースビューロー会長の古木康太郎氏は、「欧州には豊富な(旅行の)アイデアがある」と述べた一方で、「旅行会社はツアーを机上で作りすぎている。そのような商品はお客様に響かない」と指摘。企画担当者に対しては、現地を積極的に訪問し、観光局や航空会社、ランドオペレーターなどとともに商品を開発することを呼びかけ、「どこの会社も作っていない『オンリーワン』のツアーの造成に力を入れる」と強調した。
16年は、15年に選定した「美しい村30選」を組み込んだ商品造成のさらなる促進をはかる。JATA海外旅行推進部副部長の保坂明彦氏によれば、15年下期(10月~16年3月)の旅行商品では、大手旅行会社など10社が71コースを造成し、3933名を集客。16年第1四半期(4月~6月)は14社が271コースを造成し、1万2823人を集客する見込みだ。
JATAは商品造成と販売促進の強化などに向け、ツアー参加者を対象にした「ヨーロッパの美しい村フォトコンテスト」を開催中。8月26日まで応募を受け付けており、優秀作品は9月の「ツーリズムEXPOジャパン」で展示し、表彰する。消費者向けにはコンテストのパンフレットを作成する予定で、旅行会社向けには「美しい村」を取り上げたパッケージツアーの企画力や販売数を競うコンテストも検討しているという。このほか、企画担当者や販売責任者向けのファムツアーも、11月から17年3月にかけて3回程度開催する予定。訪問する国や地域は観光局などと協議の上、今後調整していく。
17年の欧州文化首都に選ばれた、デンマークのオーフスとキプロスのパフォスについても旅行商品化をはかる。同日に開催された「欧州旅行復活に向けた緊急フォーラム」では、保坂氏が「欧州文化首都報告会」を実施し、4月から5月にかけて視察した両都市を紹介。オーフスについてはモダンアートや食の魅力を、パフォスについては、文化の多様性とともに「遺跡やビーチが特徴的なリゾート地」とアピールした。
2都市については今後は10月に企画担当者向けの研修旅行を実施する予定。また、ツーリズムEXPOジャパンや、地方都市で開催される海外旅行関連のイベントなどで、2都市をアピールする写真展やセミナーなどもおこなう。なお、16年の欧州文化首都に選ばれた、スぺインのサンセバスティアンとポーランドのヴロツワフについても、下期の商品造成に向け情報を発信していく。
このほか、欧州旅行の新たな企画の切り口として、祭りやイベントなどの旅行素材をチーム・ヨーロッパのウェブサイトで提案。連続テロ事件以後に需要が落ち込む、フランスとベルギーに焦点を当てたプロモーションもおこなう。
フランスについては6月に一般消費者を対象に「“食”と“アート”と“元気なフランス”フェスタ」を実施し、1172名が来場した。ベルギーについては、下期の商品造成用にベルギーの交通機関や施設で利用できる「シティカード」を4都市分用意したほか、今後は10月に政府観光局や大使館の協力のもと、セミナーをおこなう計画だ。