ニュージーランド、ショルダー期の取込強化、年間10万人へ
このほど来日したニュージーランド政府観光局(TNZ)チーフ・エグゼクティブのケヴィン・ボウラー氏は本誌などのインタビューに応え、同国のショルダーシーズンである春(9月~11月)と秋(3月~5月)の集客を強化する方針を語った。TNZでは数年前からショルダーシーズンの誘客に取り組んでいるが、2017年度(16年7月~17年6月)はこれまで以上に取り組みを強化し、「通年を通じて魅力的なデスティネーションであること」をアピールする。15年5月から16年4月までの、直近の12ヶ月間の日本人渡航者数は前年比9.5%増の9万2512人と好調だったが、17年度の目標は10万人をめざす。
今後の日本市場では秋の紅葉や、春の牧場での子羊見学などを訴求。カヤックなどの手軽に楽しめるアウトドア体験や、11月に開催されるクイーンズタウンマラソンもアピールする。17年度は7月から春の、来年1月から秋のプロモーションを展開する計画で、旅行会社向けの施策では、公式ウェブサイト内にあるイメージライブラリーに春や秋の写真を追加し、ビジュアルで魅力を訴えていく。
旅行会社との関係については「20年以上前からよいお付き合いをしており、その関係を継続していきたい」と強調。同国内の移動は空路に加え、車やバスでの陸路の移動が必須であることから、「リゾート地とは異なり、地上の交通手段や宿泊施設など複雑な手配が必要になるため、旅行会社の役割は重要」と説明した。このほか、ニュージーランドをレンタカーで周遊するようなFITに対しては、国内に90ヶ所あるTNZの公式観光案内所「i-SITE(アイサイト)」の活用を訴えた。
さらに同氏は、日本人の訪問が少ない地方への送客を強化したい旨を説明。公式ウェブサイトに掲載中のモデルプランを順次更新し、ウェリントンなど北島南部の都市や、南島の北部などを訪問する新しいプランを掲載するなどの取り組みを進めるとした。「滞在期間が伸びれば地方に訪問するようになる」との考えから、滞在日数の増加も呼びかける。需要が特に高まる夏(12月~2月)を中心とした宿泊施設不足については、新しいホテルなどの建設が始まっており、「3、4年後には日本人が満足する質の高い宿泊施設数が増加する」と説明した。
日本市場のターゲットについては、引き続き60歳以上のアクティブシニアと20歳から35歳までの若者層に注力。日本人はスマートフォンなどで観光情報を収集する傾向が強いことから、動画などを活用してモバイル端末で楽しめるコンテンツを強化していく。
直近の日本人渡航者数が前年比約1割増で推移していることについてボウラー氏は、「喜ばしい結果。観光局としてよいパフォーマンスができた」と喜びを示した。17年度の目標の10万人については、ニュージーランド航空(NZ)が11月4日から17年3月26日まで、約2年半ぶりに関空/オークランド線を週3便で再開することなどもあり、「目標は必ず達成できる」との考えだ。