フランス、東京と大阪で商談会、初の学生セミナーも

  • 2016年6月12日

(左から)イル・ド・フランス地方観光局のベルトゥー氏、フランス観光開発機構のマゼンク氏、トゥールーズ観光局のヴァルディギエ氏  フランス観光開発機構は5月31日から6月3日にかけて、東京と大阪で旅行業界やメディアを対象にしたセミナーやワークショップなどのイベント「SAKIDORI FRANCE」を開催した。3日間に渡り実施した商談会にはフランスから来日した22社・団体が出展。参加者数は430名に上った。

 同機構在日代表のフレデリック・マゼンク氏は業界誌などのインタビューに応え、「(テロの影響で日本人旅行者が減少している)今だからこそフランスについて勉強したい、という人々が多くいる」と説明。「旅行会社からは『パリをこれまでとは違った角度で売りたい』『パリ以外の地方を売りたい』という声が多くあった」と語り、商談会を旅行会社と現地の人々のマッチングの場として提供することで、新商品の造成につなげる考えを示した。

6月2日に開催した旅行業界向けワークショップの様子  今回は、同イベントでは初めての試みとして、東京で観光について学ぶ大学生や専門学校生を対象に「フランス観光セミナー」を開催。約30名が参加した。マゼンク氏は「未来の旅行業界を担う若者にフランスの魅力を伝えることで、ファンを増やしたい」と開催の意図を説明。今後は大学でフランスの旅行産業に関する講義をおこなうなど、学生向けのアプローチを継続していく方針だ。

 今回のイベントではイル・ド・フランス地方と、トゥールーズをはじめとするミディ・ピレネー地方を主なパートナーに設定した。イル・ド・フランス地方観光局副局長でパリ5区の区長を務めるフローランス・ベルトゥー氏は、同地方にモネやルノアールなど印象派の画家のゆかりの地が数多くあることを紹介。「日本人は芸術に興味があり、印象派の画家を好む」ことから、芸術をテーマにした観光を訴求していく考えを示した。

 トゥールーズ観光局副局長でトゥールーズ都市圏議会副議長、トゥールーズ市副市長も務めるシルヴィー・ルイヨン=ヴァルディギエ氏は「日本人のリピーターに対し、都市と村の魅力をともに味わえる観光素材を紹介していきたい」とコメント。トゥールーズの航空博物館や、世界遺産に指定されたサン・セルナン・バジリカ大聖堂などと、日本旅行業協会(JATA)のTeam EUROPE 観光促進協議会(チーム・ヨーロッパ)が「美しい村30選」として選んだサン・シル・ラポピー村や周辺のワイナリーなどを組み合わせた周遊を提案した。

6月3日には、JATAが主催した消費者向けイベント「フランスフェスタ」に3つの観光局が参加  また、同氏は6月10日から7月10日にかけて、フランスでサッカーの欧州選手権「UEFA EURO 2016」が開催されることに言及。開催都市の1つであるトゥールーズでは警察や治安部隊の人員を2倍に増やすなど、警備体制を強化していると説明した。ヴァルディギエ氏も「パリでは警察官に加えて3000名の軍人が治安維持のために動員されている」と強調。大型イベントの実施を通して、フランスの安全性を世界にアピールしたい考えを示した。