JATAなど、受注型BtoB約款の説明会開始、初回はほぼ満席

  • 2016年6月5日

会場はほぼ満席に  日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)は6月3日、このほど個別申請で認可を受けることが可能になった「受注型BtoB約款」に関して、都内で説明会を開催した。5月9日に募集を開始したところ、会員企業からの参加者は早々に定員の200名に達し、この日の会場はほぼ満席に。6月6日に大阪、14日に再び東京で実施する説明会についても、応募者は3日の時点でそれぞれ150名、180名に上るという。

 同約款は、企業の団体旅行など事業者を相手とする受注型企画旅行について、契約する事業者との特約により標準旅行業約款の取消料表の上限を超える取消料を設定することができるようにするもの。標準約款では、消費者保護の観点から取消料表の上限を超える特約は認められていないが、相手方が事業者である場合は一般の消費者と異なり旅行業者との情報力や交渉力の格差はないと考え、定率や定額などの方法で取消料を設定できるようにする。申請は7月1日から可能で、旅行会社は認可を取得次第、旅行契約に適用することができる。

檀原氏  説明会の冒頭で挨拶した、JATA法制委員会副委員長を務めるミキ・ツーリスト代表取締役社長の檀原徹典氏は、「受注型BtoB約款は取消料のリスクを軽減するだけではなく、これまでは使用が困難だった素材の活用も可能にする」と説明。その上で「より良い商品の提供につながり、利用者にとってもベネフィットになる」と強調した。

堀江氏  JATAによれば、これまではキャンセルポリシーの厳しさから旅行商品での利用を避けてきた海外のホテルなども、今後は同約款により積極的に利用できるようになることから、「無難な企画」が減少して、より高度な旅行商品の造成が可能になる見込み。約款の詳細について説明したJATA法務・コンプライアンス室長の堀江眞一氏は、「よく研究して活用していただきたい」と参加者に呼びかけた。

 今回の受注型BtoB約款の導入はJATAと観光庁による検討の上で決定されたもの。標準旅行業約款における取消料規定については、昨年には募集型企画旅行でPEX運賃などの取消料や違約料を反映した取消料設定を可能にする「募集型ペックス約款」などが、一昨年にはサプライヤーが旅行業者に課す取消料や違約料の実額の合計以内の額を旅行取消料にできる「受注型実額精算約款」が導入されている。なお、堀江氏によれば、当面は新たな約款が導入される予定はないという。