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週間ランキング、1位はHIS決算、九州支援策もランクイン

[総評] 今週の1位は、エイチ・アイ・エス(HIS)の中間決算の記事でした。HISグループでは再建を果たしたハウステンボス(HTB)が全体の牽引役となり、昨年度まで5期連続で売上と営業利益などが過去最高を更新してきましたが、ここにきて減速してしまっており、通期予想も当初発表から引き下げられこのままいけば減収減益となる見通しです。

 今回発表された中間期決算では売上高が1.8%減、営業利益が14.9%減となっており、売上高営業利益率は約0.5ポイント低下しました。日本旅行業協会(JATA)の「旅行業経営分析2013」によると調査に回答した会員194社の平均営業利益率は0.53%ですから、0.5ポイント減というと旅行会社としては非常に大きな落ち込みといえますが、それでもHISは3.3%の利益率を確保できています。

 この理由を分析する上で重要なのは、旅行事業とHTB事業を比較すると、売上に占める割合は旅行が約9割でHTBは1割未満ながら営業利益となるとほぼ5割に近付く事実です。今中間期で見ると、旅行も2.1%と優秀ではあるものの、HTBは27.4%と異次元の数字で、そのインパクトの大きさを改めて感じます。

 なお、今回の減収は燃油サーチャージが値下がりしたり無料になったりしたことが大きかったようですが、減益については高単価の欧州需要が減少したことに加え、インバウンドでのいわゆる「爆買い」の失速、HTBでの入場者減、さらに熊本地震も要因となっているそうです。HTB以外は他社にも共通する課題であり、業界全体への影響が懸念されます。

 熊本地震については、第6位の記事でご紹介していますが政府による観光復興支援策が明らかになっており、特に割引クーポンの発行は一般メディアでも注目を集めているようで、個人的にもこれまで熊本にはお邪魔したことがありませんでしたので、クーポンを使っての旅行を検討しているところです。

 ちなみに、読まれた方にはご理解いただけると思いますが、真田太平記などの池波正太郎小説では加藤清正が非常に魅力的に描かれ、その手による熊本城も比類なき名城と讃えられており、池波ファンとしては行ったことがなくても熊本に思い入れを感じてきました。

 そういうわけで逆に傷付いた状態を目にするのは忍びない部分もあるのですが、現地を訪れることが復旧の助けになることは間違いなく、いつか元通りの姿を見るためにこそ今行きたいと考えています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年05月27日0時~06月04日17時)
第1位
HIS、2Qは原油下落などで減収、HTBの風評被害に懸念(16/05/29)

第2位
JTB、18年までの新中計発表、仕入強化、訪日拡大へ(16/05/29)
JTB、15年売上は過去最高、営利は45%増(16/05/29)

第3位
羽田で大韓航空機のエンジン出火、319名が避難-各社が欠航(16/05/27)
大韓航空機トラブル、27日は422便に影響、28日は5便 (16/05/30)

第4位
主要49社、15年度の海外旅行は8.4%減、円安やテロ響く(16/05/31)
主要49社、15年度の国内旅行は8.3%増-外国人は4割増(16/05/31)

第5位
香港航空、関空/香港線開設、7月からデイリー(16/05/31)

第6位
政府、九州回復へ支援プログラム、旅行商品に割引助成(16/05/31)

第7位
アエロメヒコ、週5便化の次はデイリーへ、17年内に(16/06/01)

第8位
ハワイアン、新ビジネスクラスのA330を受領、秋から本格投入(16/05/29)

第9位
タイガーエア台湾、函館/台北線開設、LCC初-8月から(16/05/30)

第10位
旅行業女性の会、JATAと第6回勉強会、吉永みち子氏が講演(16/05/30)


※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆人事、JTB役員-6月30日付(16/05/29)
 ◆週間ランキング、1位は豪州レポート、ツーリズムEXPO概要も(16/05/27)
 ◆人事、日本旅行役員-6月30日付(16/05/29)