JTB、15年度売上は過去最高、営利は45%増

  • 2016年5月29日

▽訪日、国内が好調に推移、16年度は売上、営利が増加

 各セグメントの概況は、海外旅行は円安や昨年パリで発生した同時多発テロ事件などによる国際情勢の不安の影響により、個人旅行、グループ旅行で前年を下回った。ルックJTBの売上高は9.8%減となった。FIT市場については、FIT向けのダイナミックパッケージ「エアホ」で、商品数を増やし顧客の選択の幅を拡大したことなどにより、2.6%増と堅調に推移した。このほか、法人旅行は6.8%減、メディアは21.4%減と前年を下回った。

 国内旅行は、個人旅行とグループ旅行で、早期申込の促進や、着地型コンテンツを盛り込んだ商品の販売などが好調だった。エースJTBは取扱高が5.4%増の3130億円と過去最高を記録。方面別では、取り扱いを強化した北陸や関西、沖縄方面が好調だった。法人営業は、企業のMICEや職場旅行の需要が伸び、4.9%増に。メディアは11.7%減だった。このほか、地域交流事業は地方創生関連の需要が増加したことで好調に推移した。

 訪日旅行は、アジア市場への対応を注力するとともに、訪日FIT向けのインターネット販売を強化。訪日FITと国内旅行者向けの宿泊施設の仕入れを一元化するなどの取り組みの効果もあり、好調だった。グローバル事業では、人材育成や海外企業のM&Aなどの積極的な投資効果が現れ、海外事業会社全体の売上高が3.4%増の2321億円となった。

 17年3月期の見通しについては、売上高は15年比2.7%増の1兆3800億円、営業利益は23.9%増の200億円、経常利益は1.6%減の220億円、当期純利益は14.1%減の108億円を見込む。

 JTBによると、国内の法人営業や訪日旅行の拡大に期待できるとの考え。海外旅行ついては、「前年をなんとか超えるか、下回る見込み」(高橋氏)。ただし、欧州はテロ事件などの影響で落ち込んでいるが、韓国や中国など、日本人の海外旅行者数に占める割合が高い国は回復傾向にあるという。高橋氏は「航空座席の買い取りやチャーターの実施などの積極的な展開により、海外旅行市場回復に向けて、自ら能動的に仕掛けていく」と意欲を述べた。