クイーン・エリザベス、18年に初の大阪発着クルーズ
キュナードは2018年3月に客船「クイーン・エリザベス」(QE。9万900トン、乗客定員2081人)で初の大阪発着クルーズを実施する。3月15日から22日までの7泊8日で、大阪から瀬戸内海を通過し、広島、釜山、高知を巡るもの。同社では17年にQEで神戸発着クルーズを1本予定しており、これが2本目の日本発着クルーズとなる。122泊123日のワールドクルーズで日本に寄港する際の区間クルーズとして実施する。
キュナードの日本市場での販売などを担うカーニバル・ジャパンの代表取締役社長の堀川悟氏は、5月17日に開催した記者会見で17年の神戸発着クルーズについて触れ、「発売後、瞬く間に完売した」と説明。これまでキュナードのクルーズはシニア層のリピーターが多かったが、日本発着で期間が短く、参加しやすい神戸発着クルーズを設定したことで、クルーズ初心者や50代の旅行者なども取り込むことができたという。堀川氏は「QEの日本での知名度の高さを活かし、新しい市場を開拓してさらなる市場拡大をめざしたい」と語り、19年以降も日本発着クルーズを継続したい考えを示した。
カーニバル・ジャパンでキュナード担当部長を務める児島得正氏は、QEの乗客は英国人が多く、英国が関わった幕末から明治維新にかけての日本の歴史に興味がある人が多い旨を説明。初めて高知に寄港することについては、高知が坂本龍馬ゆかりの地であることなどから「寄港地として外せないという決断をした」と語った。クルーズ代金は大人1名16万2000円から。児島氏は「QEは豪華客船のイメージが浸透しているが、リーズナブルな旅行費用で乗船できる」点を訴求していきたい考えを示した。
日本発着クルーズは12月1日から予約受付を開始。日本では旅行会社経由で販売する。児島氏は神戸発着クルーズが完売後も「参加したい」という問い合わせがあることについて述べ、「供給が需要に追いつかない状況は18年でも変わらないのでは」と予想。大阪発着クルーズでは最大で25%程度を大阪発用の客室として確保したい考えを示した。提供できる客室数が限られることから、旅行会社は10社程度で販売する。なお、ワールドクルーズの販売はすでに開始している。
記者会見では大阪市副市長の田中清剛氏が登壇し、同市長の吉村洋文氏のメッセージを代読。QEが今年の3月22日に大阪に初寄港した際は7万人以上の見物客が港を訪れたことを紹介し、「大阪発着クルーズの実現で、大阪港のクルーズ寄港地としてのステータスがさらに高まると期待している」と述べた。また、高知県知事の尾崎正直氏は、ここ数年の港湾整備により最大で20万トンクラスの大型クルーズ船が寄港できるようになったことを紹介。坂本龍馬ゆかりの地としての歴史的な魅力や、港から市内の高知城まで車で20分というアクセスの良さなどをアピールした。
なお、QEでは大阪発着クルーズ前後に、シドニーからニューサウスウェールズ州のニューキャッスル、ブリスベン、パプアニューギニアのラバウル、那覇に寄港する大阪までの15泊16日のクルーズと、大阪から鹿児島、上海、台北の基隆を経由する香港までの9泊10日のクルーズも実施する。シドニー発クルーズは31万3000円から、大阪発クルーズは20万5000円から販売する。