「質の高い観光」で日本市場強化 タイ観光庁総裁が戦略語る(1) 安全・美・スポーツを訴求

 タイ国政府観光庁のユッタサック・スパソーン総裁が来日し5月12日、大阪市内のホテルで記者会見を行った。2015年の動向、16年の見通しと日本市場への戦略について話した。

2020年に日本人来訪者200万人台目指す

 15年にタイを訪れた外国人観光客は、前年比120%の2980万人。8月の爆弾テロ事件の影響で一時的に観光客数が減少したものの、年間を通しては好調に推移した。スパソーン総裁によると、観光地を中心に警察官を増員したほか、防犯カメラの設置を増やすなどし、いち早く観光客の安全対策を強化したことが奏功したという。国別では、中国とアセアン諸国からの来訪者が800万人ずつで、日本人は140万人だった。

 今年に入ってからも好調で、1-3月は前年同期より15%ほど上回る入国者数を記録しており、年間では3400万人を見込んでいる。日本人も1-3月で前年比103%の38万人で、通年では142万人と予想する。

 スパソーン総裁は「日本は重要な市場」として、2020年までに日本人来訪者を200万人台するように見据えている。タイ国政府観光庁では昨年11月、日本旅行業協会(JATA)、日本貿易振興機構(JETRO)、テレビ朝日の3者と覚書を締結。共同でキャンペーンやイベントなどを開催し、日本人の来訪者200万人達成に向け協力体制を敷く。

 その中で、タイが強化するのは「質の高い観光」だという。スパソーン総裁は、各国間の観光客誘致合戦に「数を追い求めるのではなく、質での競争力を取り入れたい」とし「ホスピタリティの高さは自負している」と強調した。特に、若年層を含めた女性を主要ターゲットとし、スパやウェルネス産業を前面に「タイに行くと美しくなる」と打ち出し訴求する。

 また「タイに行って元気になる」をキーワードに、トムヤンクンやハッタイなどタイ料理の食とゴルフ、マラソンなどスポーツツーリズムをアピールする。スポーツに関しては、来年迎える日タイ修好130周年に合わせて、大相撲のタイ場所公演の開催や、タイ人がオーナーを務めイングランドのサッカー・プレミアリーグで優勝したレスターシティに所属する岡崎慎司選手の協力を仰ぐことも検討しているという。日タイ修好130周年に合わせスポーツを通じた「政府間だけではなく、国民同士が交流を深めるきっかけにしたい」考えだ。

 (16/05/13)


情報提供:トラベルニュース社