まちづくり観光の実現へ-東かがわ市(1) キックオフシンポ開催
香川県東かがわ市で3月19日、20日に「まちづくり観光」をコンセプトに掲げたシンポジウムとイベントが行われた。観光で注目されることが少なかった東かがわ市で、市民が主体的に取り組み観光振興を推進しようと企画。昨年11月に市民有志で発足した「まちづくり観光塾」が、いずれも運営を担った。今回の取り組みをきっかけに、東かがわ市観光は新しいステージに一歩を踏み出した。
東讃のツーリズム拠点に 山田桂一郎さんが講演
まちづくり観光キックオフ・シンポジウムは19日、三本松ロイヤルホテルで開かれた。観光塾が主催、市が共催し、市民を中心に約80人が参加した。翌日の「第1回おへんろプレスタートのまち東かがわツーリズムウォーク88-1」と連動、東讃地域のツーリズム拠点として第一歩を踏み出すことを市内外に発信することをねらった。
観光塾1期生の久保亜希帆さんの開会宣言でスタート。東かがわ市の藤井秀城市長はあいさつで「地域の点と点を結び、面にする。他者の視点が入ることでいいものができると期待している」と話した。
基調講演は観光カリスマの山田桂一郎さん。「まちづくり観光事始め」と題し、冒頭から「観光は地域経営。地域振興の問題は『すべてエゴと利害関係』にある」と言い切り「まちづくり観光は相当な覚悟がないと成功しない」。
地域経営としての観光とは「外貨獲得手段」であり、地域内のキャッシュフローを加速させることで活性化が進み、観光が地域を救うことにつながるという。そのためには観光事業者だけでなく地域で総合産業化を進めること。地域で消費してもらうために、地消地産の観点で「いいものを作り、お金をつかう」ことを促す。
山田さんが会場に示した「年齢階層別人口の増減マトリックス」。東かがわ市の65歳以上増減率は全国平均以下ながら、生産人口増減率は県内市町村で最もマイナスとなり、マトリックスのポジションも県内では最も厳しい位置にあった。
全国版マトリックスでは交通至便な場所でも厳しく、逆に不便な場所でも元気なところは元気ということが示された。このことから、山田さんは「市内での消費額を1%増やすだけで消費額は約3.9倍増加する」とし、要は総合産業化による地消地産を進め、観光関連雇用を増やすなどしてポジションを改善する必要性を説いた。
東かがわ市は「手あかがついていないからこそ、チャンスがある」。「なにもない」とは言わない、「『おいしいよ』と勧めるまちになろう」。「東かがわに来たら元気にさせる。そのためには皆が元気にならないと元気にさせられない」。地域の「らしさ」を形にして「ならでは」に変えることで「自分のこと、目先のことではない、幸せを感じる感幸地を目指してほしい」とエールを送った。
(16/05/10)
情報提供:トラベルニュース社