週間ランキング、地震対応にアクセス集中、各社の支援体制も

[総評] 今週は、当然ながら熊本と大分で発生した地震に関する話題が注目を集めました。10位以内に5本入り、圏外にも5本ありますので、下掲のランキングではすべてまとめて表記しています。

 先週の当欄の原稿を作成したのは15日の金曜日で、その前夜に発生した地震に強い心痛を感じながら書いたわけですが実際にはその揺れは前震で、16日の未明に起きた本震により更に甚大な被害が出てしまいました。改めて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。

 旅行需要への影響は避けられなくてもそう遠くないうちに必ず回復する、それを信じて産業内のプレーヤーが率先して支援や復興に取り組むべき、という考え方は先週の当欄で書いた通りで変わりなく、観光関係各社の支援体制をまとめたページも多くの方に読んでいただいています(リンク)。

 無料の通訳や翻訳などユニークな支援もありますが、個人的に目を引かれたのは全日空(NH)が途中で義援金を増額している点で、元々は熊本へ300万円と15日に発表していたところを、19日には熊本への追加300万円、大分への新規300万円を明らかにしました。つい下衆の勘ぐりで、日本航空(JL)が500万円だったからではないかなど想像してしまいますが、そうでなくともこの短期間での大幅増は珍しく感じられます。

 また、こうした額の決まり方というのも興味深いところで、これまで記事にまとめた範囲ではジェイティービー(JTB)の1000万円が最も高額です。JLとJTBでは、2016年3月期第2四半期累計期間で利益に10倍近い開きがあるわけで、企業がなぜ義援金を拠出するのか、あるいは企業の体力や結果的に得られる効果と金額との間にどのような関係があるのか気になります。

 もちろん、金額の多寡自体に意味をもたせようというつもりはありません。むしろ、キリスト教の聖書に「やもめの献金」というエピソードがありますが、これは簡単にいえば金持ちが献金する1万円よりも貧者がなんとか捻出する100円の方が重い、というもので、災害の支援でも様々な立場の人や企業がそれぞれのできることをすることが重要でしょう。旅行会社であれば、揺れが収まって以降の送客は最高の支援になるはずです。

 トラベルビジョンとしても、まずは旅行業界誌にしかできないことをしていこうと考えているところで、それはつまり被災地の観光産業関係者の皆様や観光資源についてだけを考えぬいて情報を集め、記事を書き、全国の観光産業関係者の皆様にお届けしていくことです。

 「熊本地震」と表記すると湯布院など大分県側の被害が隠れてしまう、「九州地震」にすると九州全体に影響が出ているかのような印象を与えかねない、取材が追いついていない、といった葛藤や課題は常に抱えていますが、それを真剣に悩むのも業界誌のみではないでしょうか。今後も鋭意努力してまいりますので、ご愛顧賜れれば幸いです。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2016年04月15日0時~04月22日18時)
第1位
【熊本地震】旅行各社の初動対応、ツアー中止やルート変更など(16/04/16)
【九州地震】航空会社・交通機関・自治体など対応状況リンク集(4/20追記)(16/04/15)
【熊本地震】旅行各社、22日まで取消料無料、クラツーはGW不催行(16/04/18)
【熊本地震】航空5社、熊本空港で国内線の運航再開(16/04/19)
【九州地震】観光関係各社が支援開始、無料の民泊や通訳サービスも(4/21追記)(16/04/17)
【熊本地震】熊本市内の観光に影響、他地域は軽微(16/04/15)
【熊本地震】バス会社などが訪日客輸送、JNTOは24時間電話対応(16/04/18)
【熊本地震】2県で36軒の宿泊施設に被害、3軒が未だ孤立(16/04/18)
【九州地震】田村長官、訪日旅行への影響を懸念(16/04/20)
【熊本地震】熊本県と全旅連、被災者に宿泊提供、1500人想定(16/04/18)

第2位
スクート、10月に新千歳線-バンコク経由成田線構想も(16/04/19)

第3位
読者レポート:インド東北地方の「インドにあらず」な魅力(16/04/19)

第4位
航空局、バニラに厳重注意、成田到着客の誤誘導で(16/04/20)

第5位
ハウステンボス、ロボット活用で「生産性世界一に」(16/04/21)

第6位
羽田ビジネスジェット施設の見学会開催-日本ビジネス航空協会(16/04/17)

第7位
楽天、カンパニー制導入でトラベルは「ライフ&レジャー」に(16/04/19)

第8位
バニラ、台北発の乗客50名が未審査で入国、成田で誤誘導(16/04/19)

第9位
チェジュ航空、成田線を1日3便に増便、日本発需要が回復(16/04/18)

第10位
香港航空、成田/香港線に再就航、7月から1日2便(16/04/19)

※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
 ◆週間ランキング、熊本で地震発生、旅行者対応リードを(16/04/15)
 ◆人事、日新航空サービス取締役、執行役員-4月1日付(16/04/19)
 ◆春闘:KNT-CTグループ2社、i.JTB(16/04/19)