スクート、10月に新千歳線-バンコク経由成田線構想も
スクート(TZ)は4月19日、10月1日から週3便で新千歳/台北(桃園)/シンガポール線の運航を開始することを発表した。TZは現在、日本へは成田と関空に乗り入れており、新千歳は3都市目。成田線と関空線で成功している台湾経由のビジネスモデルを今回も踏襲した形となる。新千歳/シンガポール間で通年運航の定期便が就航するのはこれが初めて。使用機材はボーイングB787-8型機で座席数はスクートビズ21席、エコノミークラス314席の計335席とした。
同日に都内で開催した記者会見でCEOのキャンベル・ウィルソン氏は、「札幌を含む北海道はシンガポール人や台湾人、その他の東南アジア人に非常に人気がある」と強調。北海道を訪れる外国人旅行者の数ではトップを争う台湾に加えて、人口わずか500万人のシンガポールもランキングの上位に入っていることを説明した上で、「ウィンタースポーツだけでなく、北海道の四季を楽しんでほしい」と期待を示した。日本市場に対しては「速くて安い、シンガポールや台湾への選択肢を提供できる」とアピールした。
会見終了後に本誌の単独取材に応えたウィルソン氏は、需要の内訳についてはシンガポール人や台湾人を中心とする訪日旅行者が7割から8割、日本人の海外旅行者が2割から3割を見込むことを説明。成田線や関空線に比べて季節差が大きくなることが予想されるが、ロードファクターは通年で8割以上をキープしたいとした。新千歳/東南アジア間については昨年秋からエアアジアX(D7)がクアラルンプール線を運航しているが、競合については「シンガポールを中心に我々のファンは多い。さらに競争力のある価格やサービスで勝負する」と自信を見せた。
日本・韓国支社長の坪川成樹氏によれば、日本での販売については、引き続き旅行会社やGDSとの協力関係を重視する考え。現在の日本における販路は7割から8割が旅行会社経由となっているが、新千歳線の割合はそれ以上になるという。ウィルソン氏は訪日外国人旅行者の送客にあたっては、観光庁や日本政府観光局(JNTO)との協働にも注力するとの考えを示した。
ウィルソン氏は今後の日本路線の展開については、現時点では就航地を増やす予定はないとし、当面は既存路線の拡充に努める考えを示した。新千歳線については早期の増便をめざし、週6便で運航している関空/シンガポール線については機材繰りの問題をクリアして、年内にはデイリー化する予定。また、桃園経由でデイリー運航している成田/シンガポール線に加えて、新たにバンコク(ドンムアン)経由の成田/シンガポール線を検討していることも明らかにした。詳細についてはこの日はコメントしなかった。
なお、同社は昨年9月には、保有する全機材のボーイングB787型機への入れ替えを完了したところ。19年末には同型機を20機にまで増やす予定で、中長距離路線網のさらなる拡大が可能になる。ウィルソン氏は今後の路線展開については「レジャー需要が中心となるデスティネーションには、(親会社である)シンガポール航空(SQ)よりもTZの方が相応しいのでは」と述べ、今回の新千歳線就航が、2社の棲み分けの1つの好例になるとの見方を示した。SQは同路線については季節定期便を運航している。
▽TZ、新千歳/台北(桃園)/シンガポール線運航スケジュール(10月1日~)
TZ215便 CTS 19時30分発/TPE 23時05分着 00時05分発※翌日/SIN 04時50分着(火・土)
TZ216便 SIN 06時15分発/TPE 10時35分着 11時55分発/CTS 16時55分着(火・土)
TZ215便 CTS 19時30分発/TPE 23時10分着 00時10分発※翌日/SIN 04時50分着(木)
TZ216便 SIN 06時15分発/TPE 10時45分着 11時55分発/CTS 17時00分着(木)