星野リゾート、旭川で「都市観光ホテル」運営へ-温泉街活性化も
星野リゾートが4月13日に開催したプレス発表会で同社代表の星野佳路氏は、2017年春からシティホテルの旭川グランドホテルを、観光客の利用が多いビジネスホテルなどを指す「都市観光ホテル」として運営する旨を発表した。同氏は「ビジネスホテルは商用客のためにサービスが設計されているが、観光客のニーズに寄り添ったサービスのあり方があるのでは」と語り、同ホテルの運営をテストケースに新しいサービスを模索していきたい考えを示した。今後は都市観光ホテルの運営軒数を増やし、「将来的には日本の地方都市に1軒ずつ持ちたい」という。
星野氏は、地方の温泉地や観光地では近年、観光客は旅館ではなく都市部のビジネスホテルに宿泊する傾向が顕著との考えから、「都市観光ホテルの分野は大きな市場がある。しっかりとシェアが取れる会社になっていきたい」と意欲を述べた。旭川グランドホテルの運営方針などについては現時点では未定といい、開業までに検討を進めるという。
そのほか、同氏は温泉地を訪問する観光客に関する考えも説明。周遊観光以外にも保養を重視する層が一定の割合でいることについて述べ、同社の温泉旅館ブランド「界」では、滞在重視型の観光客の取り込みをはかる方針を示した。
▽長門湯本温泉のまちづくり事業を受託
発表会では、星野リゾートが山口県長門市から「長門湯本温泉(山口県長門市)まちづくり計画(仮称)」の一環として、温泉街の活性化を目的とするマスタープランの策定を受託したことを発表。同地に「界」を開業し、魅力を発信することで温泉街全体の活性化に寄与する考えを示した。
星野氏は「ビジネスホテルに観光客を奪われ、訪日外国人旅行者も来ていない温泉地を観光で活性化させることは、観光業界における大きな課題」と語り、「本当の意味で集客できる温泉街にするため、何をすべきか考えていきたい」と述べた。今年秋にはプランを完成させ、長門市に提案するという。
マスタープランについては「日本人に加えて、外国人を誘客できるインパクトのあるプランにすることが目標」とコメント。観光経済新聞社の15年度の「日本の温泉100選」で長門温泉は86位だったが、同プランの実現により、ランキング10位以内をめざすとした。プランの策定においては、宿泊者や日帰り客が楽しめる魅力的な温泉街にするために、必要な要素や施設について検討する。今年の1月には地元住民や旅館組合などと意見交換会を実施しており、今後も引き続き開催していく。