中部、16年度は旅客数1150万人に-B787展示施設建設へ

  • 2016年3月31日

 中部国際空港は3月31日、2016年度の目標と今後の取組方針を発表した。「開港期の“思い”と“エネルギー”をもう一度」をスローガンに、国際線旅客数は15年度見込み比14.3%増の560万人以上、国内線旅客数は7.3%増の590万人以上、総旅客数は10.3%増の1150万人以上をめざす。発着回数の目標は9%から10%程度の増加となる10万7000回。

 同日に開催した記者会見で、同社代表取締役副社長の各務正人氏は「16年度は旅客数をリーマンショック以前に、発着回数は過去最高を視野に入れて目標を設定し、新たな成長に向かって邁進したい」と意欲を示した。国際線は、4月1日のジェットスター・ジャパン(GK)のマニラ線、夏のエアアジア・ジャパンの台北(桃園)線の就航予定に加え、昨年12月以降のVエアー(ZV)、ジェットスター・ジャパン(GK)、タイガーエア台湾(IT)の桃園線開設などによる座席増に期待を示した。国内線もエアアジア・ジャパンの新千歳、仙台線就航などで増加する見込みだ。

 各務氏は、16年度は首都圏空港発着枠のさらなる拡大や、関空の運営権移管などで空港間の競争がさらに高まる一方、航空需要は訪日外国人旅行者を中心に着実に増加すると見られることを説明。予想を踏まえて中部では航空ネットワークの拡大、施設機能やサービスの向上、商業事業の拡大、安心・安全の確保、地域連携の推進、経営基盤の強化、2本目の滑走路の整備に向けた取り組みを推進するとした。

 航空ネットワークの拡大については、4月から着陸料の新たな割引制度(※関連記事)を活用し、既存路線の増便や機材の大型化、中部拠点航空会社の誘致・定着を促進する。また、近隣諸国や東南アジアへの路線の拡充と、長距離路線などの維持・獲得に向けセールスを強化する。中部北陸9県などによる「昇龍道プロジェクト」との協働など地域での需要喚起活動の推進や、5月の伊勢志摩サミット開催後に増加する旅行需要の確実な取り込みもおこなう。

 施設機能やサービスの向上では、LCC向け新ターミナルの整備事業に着手し、19年度上期の供用開始をめざす(※関連記事)。また、深夜早朝便や訪日外国人旅客の増加などを踏まえ、空港アクセスを拡充。商業事業の拡大では、訪日外国人旅客の増加を踏まえた制限エリア内の店舗の拡張や再編などをおこなうほか、ボーイングB787型機の飛行試験機「ZA001号機」の展示を核とした、新たな複合商業施設の整備に着手する。同施設は17年度下期の開業をめざす。

 中部によれば、同機についてはB787型機の機体の35%が中部地方で製造されていることなどを踏まえ、ボーイング社が昨年6月にを寄贈。施設では同機の屋内展示を中心に、教育的なコンテンツや飲食店、物販店などを併設する。ボーイング社の本拠地がシアトルであることにちなみ、米国風の雰囲気にするという。

 このほか、2本目滑走路整備への取り組みについては、地域の自治体や経済界の気運の高まりを受け、地域一丸で取り組みや検討を続ける。安全・安心の確保では、ボディースキャナーなどの保安検査機器の新規導入による対策強化、サイバー攻撃などに対する即時対応体制の構築などにも取り組む。