日本旅行、16年は米国・大洋州・アジアに注力-夏からパリも

  • 2016年3月13日

(左から)日本旅行の阿部氏、有方氏  日本旅行は2016年の海外旅行商品で、アメリカ、オセアニア、アジアの3方面を強化する。同社東日本海外旅行商品部部長の阿部公宣氏によれば、日本旅行の東日本地区における海外旅行商品の取扱高のうち、60%は欧州方面。しかし、昨年の1月にパリで起きた新聞社襲撃事件や11月の同時多発テロ事件などで、フランスを中心に欧州への旅行需要が減少傾向にあることから「今年は取扱高のシェアを52%に下げ、8%部分の穴埋めをアメリカ、オセアニア、アジアでおこなっていく」考えだ。

 16年上期はアメリカについて、これまで「アメリカ・カナダ・中南米」として展開していたパンフレットを「アメリカ」「カナダ」「中南米」の3冊に分冊。そのほかに添乗員付きコースのみのパンフレットとして「マストBUY アメリカ・カナダ・中南米」を初めて作成した。さらに、今までは欧州で展開していた、ハネムーナーやカップル向けの「感動の宝石箱」シリーズを「アメリカ」と「オーストラリア・ニューカレドニア」でも新設。東日本海外旅行商品部商品企画チームマネージャーの有方俊行氏は、ハネムーナーが新婚旅行の行き先を欧州からアメリカやオーストラリアなどに変更する傾向が見られる旨を説明し、「そのような需要の受け皿になる商品として造成した」と語った。

「感動の宝石箱」シリーズ  オセアニアについては、今まで「オーストラリア・ニュージーランド」としていた制作していたパンフレットを「オーストラリア」と「ニュージーランド」に分冊。ニュージーランドではシニア向けにビジネスクラス・プレミアムエコノミークラスを利用した添乗員付きのツアー「満天のニュージーランド」を新設した。

 アジアはリゾートを中心に強化する方針で、早期需要の取り込みをはかり早期申込割引を拡充したほか、「イチ押し バリ・プーケット」で、日本出発日を当初は4月から8月までとしていたところ、9月まで延長した。また、「日本航空ビジネスクラス・プレミアムエコノミーで行くアジア」を新設。訪日需要の増加により、ツアー用にエコノミークラスが取りにくくなっている状況を踏まえた商品で、阿部氏は「長距離方面とは異なり、アジアへの上級クラスの運賃はそれほど高くない」と語った。同社では今後も上級クラスを利用した熟年・シニア層向け商品の充実をはかる考えで、このほか熟年・シニア層向けには「悠遊紀行アジア」で東京発商品を初めて設定した。

 一方、シェアの半分を占める欧州については、主力商品としてきたフランス、イタリア、スペイン、ドイツ、英国のうち、フランスを訪問するツアーの数を前年の6割程度まで減らし「穴埋めをスイス・北欧・中欧・クロアチアのセカンダリーマーケットに注力しておこなう」(阿部氏)考え。専用のポスターを作成し、自社店舗や販売代理店などに販売強化を訴えていく。

 有方氏はパリを訪問するツアーの受注状況については「前年の7割減まで落ち込んでいるが、徐々に店舗への問い合わせが増加してきている」と説明。「7月から8月までの夏商品からツアーを復活させていきたい」と意欲を示した。今後は夏に向けて、試験的にウェブサイトで販売する廉価型商品でツアー数を増やしていく計画だ。

 このほか、阿部氏は欧州のツアーを中心に、2名催行確約の出発日を減らして収益の確保をはかっている旨を説明。8名から10名集客した時点で積極的に「出発確定」をギャランティーしていく方針で、各店舗や顧客に出発確定日を告知し、申し込みを集約していくという。