週間ランキング、ようやく羽田米国線が決着-発着枠の行方は?

[総評] 今週の1位はアメリカン航空(AA)が羽田/ロサンゼルス線の運航を開始したことについての記事でしたが、それよりもなによりも3位に入った日米航空協議の合意を取り上げるべきでしょう。本当にようやくという言葉がぴったりで、大きな喜びを感じます。

 実際の運航開始は冬ダイヤからの見込みということでまだ先のように感じますけれども、販売のリードタイムと航空会社への配分に要する時間を考えれば急ピッチで話が進むでしょう。

 いうまでもなく羽田の発着枠はドル箱で、特に昼間時間帯ともなれば航空会社にとっては日本に就航する上では最も価値の高い権利であるはずで、最終的にどの会社がどの路線で枠を確保するのか分かりませんが、そこに至るまでの議論はこの上なく白熱すると予想されます。

 また、記事にもあるように、羽田の価値が高いがゆえに成田など他の国際空港の地盤沈下に繋がる可能性があることも留意を要します。そうであればこそデルタ航空(DL)は反対してきたわけで、今回の合意に対しても早速、「非常に残念」であり成田のハブ機能とアジア内の路線網をできるかぎり維持できるよう努力はするが、影響は差し迫っており注意深く判断する、とコメントを出しています。

 DLは、協議の前にも成田全線の運休を示唆する声明を出していたところで、それだけインパクトが大きいということでしょう。旅行業界としては単なる脅しであってほしいところですが、まずは米国運輸省(DOT)の配分に向けた動きを注視するしかありません。

 加えて、日本側でも残り1枠がどのように扱われるかも注目の的で、これについて国土交通大臣の石井啓一氏は「8.10ペーパー」の中身を考慮すると発言されたようです。

 「8.10ペーパー」は、2013年10月に合計16便分の羽田昼間枠が「傾斜配分」された際に、日本航空(JL)の中期経営計画(2012年度~2016年度)で明示された路線以外の新規就航は「抑制的に」判断する、という理屈の根拠として突然採用されたものです(リンク)。

 当時の配分では、深夜早朝枠でJLが羽田から路線を開設している国への路線は「増便」であるから抑制的に判断しなくてよく、未就航の場合は新路線であるから抑制的に判断して全日空(NH)に枠を与えるという考え方がなされました。

 そうすると、いうまでもなく米国線はすでにJLも飛んでおり、「8.10ペーパー」を持ちだしても結論は出ないはずです。結果としてどの会社がどれほどの枠を獲得するのか分かりませんし、個人的にはどうであっても大差ないわけですが、やはり理屈は理屈としてきちんと一貫性を持たせてほしい、透明性を高めてほしいところです。

 その意味では、以前から当欄でご紹介している通り、米国側では基本的なやり取りをウェブ上で公開する仕組みができあがっており、うらやましい限りです。DOTに対して、就航を希望する航空会社が自社のプランの強みをアピールしたり他社の問題点を指摘したり、あるいは空港会社や自治体がサポートの意思表明をしたりという場で、誰でも見ることができます。

 これから冬ダイヤに向けて、トラベルビジョンでも様々な動きをお伝えする機会が多くなると思いますが、より詳しい情報をお求めの方は是非ご覧いただくと良いと思います(リンク)。(松本)

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