日本旅行、15年販売高は微増見込む-16年は国内に注力

  • 2016年2月17日

総会の様子  日本旅行協定旅館ホテル連盟は2月17日に第54回通常総会を開催した。冒頭で登壇した日本旅行代表取締役社長の丸尾和明氏は、2015年の事業について、堅調な国内旅行と好調なインバウンドが海外旅行の落ち込みをカバーした旨を説明。15年の総販売高は「前年を若干上回る見込み」と語った。営業利益は「ほぼ計画通りの数字を達成する」との見通し。

 同氏によれば15年の販売高のうち、海外旅行は円安やパリで発生した同時多発テロ事件、中東の情勢不安などで14%減となり、16年についても「飛躍的に伸びるということはない」との考えだ。一方、国内旅行は北陸新幹線の開業やJRのデスティネーションキャンペーン(DC)の効果などもあり、5%増と前年を上回った。セグメント別では、団体が9%増。赤い風船は9%増で過去最高の販売高を見込む。JR券などの個札販売は微減を予想する。

日本旅行代表取締役社長の丸尾和明氏  インバウンドは37%増で、販売高は300億円を超える見通し。丸尾氏によれば全体の約60%が欧米市場によるもので、そのほかは東南アジアが約15%、中国が約13%だった。今後は欧米を確実に伸ばすとともに、東南アジアも強化していく方針だ。

 日本旅行では、13年を初年度とする4ヶ年の中期経営計画「ACTIVE 2016」に取り組んでおり、インバウンドは同計画の重点項目の1つと位置づけている。丸尾氏によれば、他の4つの重点項目である海外・国内旅行を合わせた教育旅行は5%増、MICEは13%増、BTMは9%増、インターネットは15%増で、いずれも前年を上回っているという。

 16年は中期経営計画の最終年度として、引き続き5つの重点項目に注力するとともに「日本旅行、宿泊施設、旅行者がWin-Winとなることを基本としたい」考え。そのほかにも丸尾氏は、16年が日本旅行創立111周年にあたることについて触れ、「基本に立ち返ったマーケットインとチャレンジの精神で、顧客の求める価値を提供していきたい」と語った。

 16年については、中国経済の減速や原油価格の下落、日銀によるマイナス金利の適用などから「景気の変動要素が多く、リスクのある年になるのでは」との懸念を表明。経営基盤の強化をはかるために、インバウンドを含む日本国内の旅行に注力していく方針を示した。特にインバウンド関連事業への取り組み強化をはかり、1月1日付で本社営業企画本部に「インバウンド事業創造推進室」を新設。国内の仕入強化もめざす方針で、総会に参加した宿泊施設に協力を求めた。

 さらに、地方創生に向けた取り組みも強化する。今年1月1日付で、本社営業企画本部に「地方創生推進室」を設置。加えて同本部に「SIT推進チーム」も新設しており、テーマに特化した目的型の商品造成を強化する。

日本旅行協定旅館ホテル連盟会長の小林喜平太氏 このほか、総会では同連盟会長の小林喜平太氏が登壇。15年の国内旅行を振り返り、北陸新幹線開業の効果やテーマパークの賑わいなどから好調だったと語った。また、同氏は民泊問題についても言及し、民泊をおこなう事業者には「しっかりとしたルールが必要」とするとともに、各自治体に民泊のルールの遵守について、十分確認するよう訴える必要性を説いた。

 なお、総会では同連盟の16年の事業計画も発表。16年は日本旅行との連携を強化し、宿泊販売のさらなる拡大に向け、地域誘客、赤い風船のインターネット商品の販売拡大、各地の観光素材を活用した団体の獲得などに取り組む。さらに、今年は新たにインバウンドの取り組みを強化する方針で、連盟内の営業推進委員会に専用の部会を設ける。