シンガポールとJNTO、外交50周年で覚書、記念事業で交流促進
シンガポール政府観光局(STB)と日本政府観光局(JNTO)はこのほど、4月26日に迎える外交関係樹立50周年を記念して、両国間の観光交流促進に向けた協力覚書を締結した。両国間での覚書の締結は今回が初めて。両観光局は今後、両国の観光地や観光素材のブランド化と両国民への訴求に加え、観光関係者に対しては日本・シンガポール外交関係樹立50周年記念事業(SJ50事業)への参加を呼びかける。また、宣伝活動や政府関係者の訪問、両国間の研修交流などを促進するという。
今回の締結に際してSTBとJNTOは1月29日、都内でメディア向けに発表会を開催。今後1年間に渡り展開するキャンペーンやイベントの内容などを発表した。STB副長官のリヨン・ユウキョン氏は覚書の締結について「現在まで築いてきた素晴らしい関係をさらに促進できると確信している。50周年を祝うと同時に、次の50周年を見据えて進んでいく」と意欲を示した。また、JNTO理事長の松山良一氏は「文化や食、次世代を担う学生など、さまざまな形で双方向交流や理解を促進すべき。そのことがさらに両国間の絆を深めると信じている」と述べた。
両局は覚書の締結を皮切りに、さまざまな取り組みを順次開始する。1月27日から3月31日までは、楽天トラベルと「楽天Go Singaporeポイント10倍キャンペーン」を実施。期間中に楽天トラベルでシンガポールへの旅行や航空券、ホテルなどを予約した人に、楽天スーパーポイントを通常の10倍付与する。2月1日から3月15日まではぐるなびと共同で、日本各地のシンガポール料理店17軒との「ぐるなびシンガポール フードフェア」を開催。ぐるなびの特設サイトでアンケートに答えた人のなかから抽選で「シンガポール航空で行くシンガポール3泊4日の旅」などを贈呈する。
そのほかにもSTBは、「SJ50特典」としてシンガポールの現地ホテル、アトラクション、ツアーなどで使える日本人旅行者向けのクーポンを同局の公式ウェブサイトで提供しているところ。昨年12月からはシンガポール航空(SQ)と共同で「Wでお得なキャンペーン」も実施しており、2月12日までにSQの公式ウェブサイトで航空券を購入した人に、マイレージプログラム「クリスフライヤー」のマイルを通常の2倍贈呈する。
JNTOは、2月24日から3月8日までぐるなびと共同で、キャンペーン「Japanese Restaurant Week in Singapore」を実施。シンガポールで日本食を提供する84軒のレストランで、訪日旅行商品などが当たる抽選会をおこなう。また、同キャンペーンに合わせてH.I.S.ANAナビゲーションジャパン(HAnavi)が日本各地のレストランを巡る訪日旅行商品を販売する。
3月にはシンガポールのチャンギ国際空港内の2ヶ所に、華道家の假屋崎省吾さんがプロデュースする巨大なフラワーアレンジメントを展示。フラワーアレンジメントの写真をソーシャルメディアに投稿した人に抽選でオリジナルグッズを贈呈するキャンペーンも計画する。また、10月には14年以来2年ぶりに、シンガポール市内で訪日旅行フェア「Japan Travel Fair」の開催を予定しているという。
発表会ではそのほか、「SJ50ツーリズムロゴ」を発表した。日本の人気キャラクターのハローキティと、STBのマスコットキャラクターの「ドリたん」を起用し、両国を代表するキャラクターが飛行機に乗って仲良く互いの国を訪問する姿を描いたもので、16年に実施する両観光局の活動のほか、後援または協賛する外部イベントなどでも使用していくという。
STBによると、14年の日本人訪問者数は1.0%減の82万4741人。15年1月から11月までについては、出国者数の落ち込みなどにより4.1%減の72万1701人となった。16年の目標については、セントーサ島に造られた統合型リゾート(IR)のブームの沈静化や、航空座席数の逼迫などを勘案し、前年並みをめざすという。
一方、JNTOによると15年の訪日シンガポール人数は36%増の30万9000人だった。16年の訪問者数の目標は未定だが、今後も増加すると見込み。なお、訪日シンガポール人にはリピーターが多いのが特徴で、14年に訪日した22万8000人のうち、訪日回数が3回目または4回目の人は22.8%、5回目以上の人は30.3%を占める。JNTOでは今後も、リピーターをターゲットに取り組みを進めていく考え。