全日空、A380をホノルル線へ-3機発注、19年春の投入めざす
全日空(NH)は1月29日、エアバスA380型機3機の発注を取締役会で決議した。首都圏発のホノルル線に、2019年春の導入をめざし準備を進めていく。機材の受領時期は18年度以降となる見通し。NHはホノルルへ成田から1日2便、羽田から1日1便を運航しているが、どちらの路線に導入するかは明らかにしていない。
同社では15年に発表した25年までの「長期戦略構想」や、同日に発表した20年度までの中期経営戦略(※関連記事)で、リゾート市場の取り組みを強化していく方針を発表しており、A380型機のホノルル線導入はその一環。29日に開催した記者会見で、ANAホールディングス(ANAHD)取締役施行役員の長峯豊之氏は、A380型機は大量輸送が可能で、ファーストクラスを設定できる旨を説明し、導入により「富裕層を含むレジャー需要の取込強化をめざしたい」と語った。地方などからの乗継需要を考慮し、日本発夜便で利用したい考え。
NHのホノルル線の搭乗率は年間で平均94%の「年間を通じて安定した需要がある路線」(長峯氏)。しかし、同氏によれば日本/ハワイ線におけるNHのマーケットシェアは8%で、日本航空(JL)は36%、他社は56%となっており「NHは座席供給量が圧倒的に競合他社より少ない」という。A380型機の投入により、NHのシェアを24%まで拡大できる見込みだ。
座席数などは未定だが、ファーストクラスを設定し、他社との差別化をはかる。販売については、ANAセールスを活用して販売強化をグループ全体で取り組んでいく。なお、運賃については明らかにしなかったが、大型機の導入により現在よりも低い運賃設定となる予定だという。
A380型機はNHが支援するスカイマーク(BC)がかつて導入をめざしていた。長峯氏によれば、ANAHDは15年の春から、エアバス社とA380型機導入に関する交渉を実施しており、「BCの件がA380型機を使ったリゾート路線の検討を加速させた」という。
また、同氏は「A380型機は10機程度を導入しないと、効率的なオペレーションが難しいという話もあるが、我々はA380型機を他路線には回さずにホノルル線に特化することで、効率性を高め、収益をあげていく」と説明。乗員の養成や機材の整備などは外部に委託し、効率化と自社の負担の軽減をはかる。