JTBグ、全社挙げて大規模東北キャンペーン、訪日も促進
ジェイティービー(JTB)グループは3月11日から9月30日まで、全社を挙げて取り組む「東北絆キャンペーン」を実施する。今年の3月11日で、2011年の東日本大震災発生から5年が経過することを受けたもので、震災の記憶の風化を防ぐ観点から実施するという。コンセプトは「ともに進む、あしたへつなぐ 東北の未来」で、青森・岩手・秋田・宮城・山形・福島の6県の観光の魅力を日本人と訪日外国人の両方に訴求し、復興支援の取り組みを強化する。
JTBグループはこれまでにも、震災の教訓を伝える「学びのプログラム」シリーズや、同社のオリジナルイベント「杜の賑い」の東北での開催など、復興に向けたさまざまな活動をおこなっているが、全社による東北キャンペーンは今回が初めて。グループ全体での訪日外国人旅行者誘客キャンペーンとしても、初めての試みとなる。1月22日には特設サイトを公開する予定。復興支援が主たる目的であることから、数値目標などについては非公開としている。
国内旅行については新たな取り組みとして、宮城県山元町の被災地域をガイドと訪れ、東北への想いを記した黄色いハンカチを小学校のポールに掲げる「黄色いハンカチプロジェクト」などを開始。そのほかにもグループを挙げて、その地域でしか体験できない観光素材を活かした、個人および団体向けのさまざまな企画を用意するという。訪日外国人旅行者向けには、東北を定番のデスティネーションにすべく魅力を発信し、体験商品の拡充や双方向チャーターの実施などを予定。北海道新幹線開業に伴うJRグループの青森県・函館デスティネーションキャンペーンとも連携し、観光ルートの開発に取り組む。
国内旅行のうち個人旅行向けには、東北の新緑の魅力をアピールするため「東北新緑名勝地10選」を選定し、新たな需要を喚起。具体的には、地元ガイドとの奥入瀬渓流などの散策、磐梯高原でのサイクリングなどを企画する。また「小岩井農場の一本桜場内ウォーキング鑑賞」や「おすすめ桜鑑賞タクシープラン」など、桜、祭、花火、温泉をテーマとした商品も拡充。そのほか、9月22日に上演する「世界文化遺産登録5周年記念平泉歌舞伎」を観覧する特別企画商品も発売する。
団体旅行向けには、町興しに成功した地域を訪ねるプロジェクト「地恵のたび」や、復興ツーリズム関連の「学びのプログラム」のラインナップを拡充。そのほかにも「絆プログラム」として、宮城県での「防災まちあるき~津波伝承ARアプリ~」や福島県での「二本松農園~ふくしまの食の今を応援する~」などを実施する。また、特別プログラムとして「中尊寺秘仏御開帳」「宮沢賢治生誕120周年」なども予定する。
訪日外国人旅行者向けには、国土交通省が定めた広域観光周遊ルート「日本の奥の院・東北探訪ルート」を軸に、東北の定番観光地化をめざして情報発信と販売強化に注力。外国人にとって魅力的な観光地や素材を、JTBグループのウェブサイトやアジア諸国のパワーブロガーを活用してアピールするとともに、宿泊予約サイト「JAPANiCAN」でも東北特集を組む。あわせてアジア太平洋地域のグループ各社を通じて「東北重点販売キャンペーン」を実施し、販売員の研修や各国の旅行博への出展などにも取り組む。
商品ラインナップについては、雪や桜などの自然景観、各地域の食や温泉、祭りなどを活用して強化。和牛と地酒の夕食プランや「夏祭り桟敷席付プラン」、さくらんぼ狩りも楽しめる「さくらんぼ満喫プラン」など地域の素材を活かした特典つきのプランを用意する。そのほかには国内旅行者向け商品「エース大感動号」の外国人混乗プランなども設定。海外の旅行会社向けには、首都圏などからの移動を含む団体向けのパッケージプランを新設する。