JTB、価格変動型商品で「ホールセールの革新」、早期受注強化も

  • 2016年1月14日

黄色パンフレット。左上の「春・夏・秋」の矢印が代金変動型の目印。旅行代金の有効期間も明記(※クリックで拡大)  ジェイティービーワールドバケーションズ(JTBWV)は2016年度上期(4月~10月)商品で、旅行代金変動型商品を新設した。同内容のツアーでも申込時期によって価格が変わるもので、基幹商品の通称「黄色パンフレット」などで導入する。対象は添乗員が同行しない、宿泊と航空券を組み合わせた個人型ツアー。1月14日の記者会見で、同社代表取締役社長の井上聡氏は「ホールセールの革新に挑戦したい」と意気込みを示した。

 旅行代金変動型商品の導入は、アジア人の旅行者が急増したことで航空座席や宿泊施設の確保が困難になってきたことを受けたもの。代金は2ヶ月ごとに市場環境などを考慮して変更し、パンフレットも差し替える。JTBWVによれば、外的要因などは除き、原則として早期の予約であればあるほど代金が安くなるように設定する。

代表取締役社長の井上聡氏  井上氏は、今までは間際に廉価な旅行商品が発売される傾向にあったことを説明。旅行代金変動型商品により「日本の海外旅行の捉え方、価格に対するお客様の認識のあり方を少しでも変えていきたい」と述べた。

 同社取締役東日本販売本部長の青木哲朗氏は「代金変動商品としたことで、ツアーを前広に発表できるようになった」と語り、同商品で早期申込の促進をはかる方針を示した。また、基幹商品の通称「赤いパンフレット」では、最大で11ヶ月先の商品を提供。このほか、16年度上期商品全体で、早期予約者への割引特典なども強化した。

 また、今までは基幹商品を発表後、価格訴求型商品として「お得だね!」や「とっておき!」などのシリーズを追加で発表していたが、青木氏は「類似商品が増え、商品の差や、どの商品がお得かが分かりにくかった」とし、今後は価格訴求型商品を黄色パンフレットに集約する旨を説明。井上氏も「出発間際の余剰在庫を格安で販売することは極力避けたい」と話した。

 井上氏はそのほか、16年度は人的なサービスのさらなる強化や、仕入れ競争の激化を踏まえたチャーターの活用、座席や客室の買い取りの強化などをおこなう方針を示した。

 人的サービスの強化については、旅先で利用できる「ルックJTB専用ラウンジ」を増設する。さらに、今まで欧州で提供していた、海外の空港で乗り継ぐ際の「緊急ホットダイヤル」をアジアでも提供。そのほかには60歳以上を対象に、健康上の理由で旅行をキャンセルする場合、次回の旅行の予約・参加を条件に取消料を免除するサービスや、航空機の6時間以上の遅延などを対象にした「ルックJTBお見舞金制度」を導入するなど、サポート体制を強化する。

 チャーターについては15年度は5機のみだったところを、16年度は17機実施する予定で、15年見込み比368%増の取り扱いをめざす。方面は欧州が中心で、スイスやクロアチア、アイスランドなどへのチャーターを、首都圏に加え地方発着でも実施する予定だ。このほか、定期便の座席や宿泊施設の客室の買い取りについても強化していく。