トップインタビュー:韓国観光公社日本地域本部長の康重石氏

国交正常化50周年はMERSに泣くも
首脳会談実現で来年は復活へ

政治の面では、4月には4年ぶりの観光大臣会合が開催され、11月には3年半ぶりの日韓首脳会談が実現しました

11月の日韓首脳会談で握手する、安倍晋三氏と朴槿恵(パク・クネ)氏(出典:首相官邸ホームページ) 政治的な問題は思っていたよりも根が深く、首脳会合の実現までにはかなりの時間を要した。しかしここ数年のギクシャクした雰囲気に1つの区切りをつけて、新たな時代へ向かうきっかけになったことは間違いない。首脳会談の実現は、今年のなかで最も嬉しかった出来事だった。訪韓旅行にかかわるすべての人々が期待していたと思うし、共同宣言では人的交流の拡大について、改めて確認された。

 振り返ってみれば、良いことも悪いこともあった1年だったと思う。今後は良い雰囲気さえ続けば、少しずつ日本人は戻ってくると期待している。良好な雰囲気を少しでも広げていくために、年内は大きなイベントこそないものの、一般紙やテレビを通して、全国の消費者に向けた積極的なピーアール活動を展開している。MERSの影響で中止した6月の「日韓フレンドシップフェスティバル」も来年は開催したいと考えている。


この3年間で韓国への旅行者は、台湾など近隣のデスティネーションに流れたのでしょうか

 訪韓需要が他所に大きく流れたとは考えていない。日本人出国者数は13年から減少に転じているが、その流れに反して日本人旅行者数が大きく増えている国は、多くはない。出国者数の減少分の多くは、韓国や中国の減少分と見ている。円安の継続などを考えれば、訪韓需要はむしろ、国内旅行に流れているのではないだろうか。

 経済状況の問題もあるとはいえ、日本の若者が海外に行かなくなっていることが心配だ。特に元気のいいはずの20代男性が、パソコンの前から動かなくなっていると思う。その点は、韓国の国民性とは少し違いがあるのかもしれない。韓国経済も良い状況にはないが、それでも若者はお金を貯めて海外をめざし、関係が冷え込んでいる日本にもやって来ている。


このほどKTOでは日本地域の組織改編をおこなったと聞きましたが、その理由は

 12年に2国間の政治的な冷え込みが始まってから、日本人旅行者数が減少し続けていることを踏まえて、マーケティング戦略などを見直すために実施した。私自身はこれまで務めてきた東京支社長と兼務する形で、今後は日本全国の事業を統括する「日本地域本部長」に就任している。

 東京支社長時代も、ある程度は日本全国を総合的に見てきたが、今後は全国の4支社ごとにおこなってきたマーケティング活動などを一本化して、プロモーション活動の強化と効率化を進める。特に日本人旅行者の約9割を占めるFIT向けには、ばらばらだったソーシャルメディアによるプロモーション活動を統合して、新たな情報共有のためのコミュニティサイト「みんコリ(みんなのコリア旅行)」を立ち上げた。団体については旅行会社との協働を進める。