JTB、15年度上期は売上微増、営利2割増-国内と訪日が牽引
▽通期予想は据え置き、パリ連続テロの影響「読み切れない」
各セグメントの概況は、海外旅行については、新シリーズ「世界の絶景」「絶景ハイキング」などを発売したルックJTBなどの売上高は11.5%減と低迷。団体は11.3%減、メディアは21.5%減だった。ただし、高付加価値商品の造成に取り組んだ結果、売上総利益率は1.5ポイント増の21.8%と上昇した。
国内旅行は、エースJTBが7.0%増と堅調に推移。「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの旅」が提携によるサービス強化などで46%増となったほか、北陸新幹線の開通により首都圏発の北陸商品は304%増と大幅に増加した。団体も、企業のインセンティブ旅行やMICEなどが好調で6.9%増に。メディアは2.2%減だった。
国際旅行のうち訪日旅行は、訪日個人旅行者向けのインターネット販売を強化したほか、訪日向けと国内向けの宿泊仕入を一元化したことにより62.1%増となった。旅行予約サイト「JAPANiCAN」の取扱人員数は宿泊仕入増などにより29.6%増。「エクスペリエンスジャパン」は318.9%増となった。「サンライズツアー」は21.0%増。海外発海外などのグローバル旅行は、これまでの買収などによる投資効果が現れ、56.4%増となった。
2016年3月期の見通しについては当初予想を据え置き、売上高は0.1%増の1兆3250億円、営業利益は79.7%増の200億円、経常利益は17.7%増の220億円、当期純利益は16.2%減の123億5000万円とした。国内旅行と訪日旅行への経営資源投入で年間での増収をめざし、営業利益と経常利益は増益を見込む。
ただし、11月13日にパリで起こった連続テロ事件の影響については反映していないため、海外旅行や国際旅行への影響次第では減収となる可能性も考えられる。このことについて同社グループ本社広報室室長の立川基久氏は「先は読み切れないが、国内旅行や訪日旅行などで補完しあいながら、いろんな形で対応していく」と説明した。
取締役旅行事業本部長の細野顕宏氏によれば、同社グループは14日から16日までに出発する、フランスを旅程に含むルックJTBのツアーをすべて中止。その結果、計500人に影響が出たという。17日から20日までに出発するツアーについては取消料なしでキャンセルを受け付ける。21日以降の取り扱いについては、18日までの状況を見て判断するとした。