パリで1月に続きテロ事件、主要旅行会社はツアー中止も

  • 2015年11月14日

 フランスのパリで現地時間の13日夜、10区と11区において複数の銃撃事件が発生し、サッカーの仏独親善試合がおこなわれていた北部近郊の国立競技場でも、複数回の爆発が発生した。また、銃撃犯がコンサートホールに人質を取って立てこもるなど、一連の事件による犠牲者の数は、現地からの報道によれば、日本時間の14日16時の時点で約120人とも150人とも伝えられている。今年1月のシャルリー・エブド社襲撃事件に続くパリでのテロ事件の発生を受けて、日本の主要な旅行会社は直近のツアーの催行中止を決定。パリ滞在中の旅行者の安否確認などの対応に追われている。

 事件の発生後に緊急記者会見をおこなったフランス大統領のフランソワ・オランド氏は、「前例のない規模の攻撃がパリ周辺で起きている」として、フランス全土における緊急事態を宣言。国境の管理を強化する旨を発表した。パリ警察は事件発生後にTwitter上で、市民に対して「絶対的な必要」がない限り自宅にとどまるよう呼びかけている。14日は、学校、美術館、体育館、プール、市場などパリ市の施設はすべて閉鎖され、集会やデモに対する許可も取り消される見通し。なお、犯行声明の発出は14日16時の時点で確認されていない。

 日本の外務省も14日には、注意喚起のためのスポット情報を発出。フランスに渡航または滞在する日本人には、最新の関連情報の入手に努め、特にパリを含むイル・ド・フランス地域圏では不必要な外出は避け、事件現場周辺やテロの標的となりやすい政府・軍・警察関係の施設、公共交通機関、観光施設など不特定多数の人々が集まる場所を避けるよう呼びかけている。

 大手旅行会社の対応については、ジェイティービー(JTB)はルックJTBのツアー参加者約300人がパリに滞在中で、同社は14日午前の時点で安否を確認中。14日と15日に日本を出発してフランス入りするツアーについては、催行中止を決定した。

 KNT-CTホールディングスは14日16時の時点で「ツアーの参加者が数百人滞在しているが、ほぼすべての安全を確認した」という。14日と15日に出発するツアーについては、やはり催行を中止した。

 日本旅行は滞在中の約160人のうち、14日16時の時点で8割の安全を確認。残り2割の安否を確認しているという。14日出発のツアーは既にフランスに向けて出発しているが、15日と16日に出発するツアーは中止した。

 エイチ・アイ・エス(HIS)も14日16時の時点で、滞在中の旅行者の安否を確認中。16日までに出発する、旅程にフランス訪問を含むツアーについては、取消手数料なしでキャンセルを受け付けるという。

 パリでは今年1月に、イスラム教過激派を挑発する風刺画を掲載していた雑誌社のシャルリー・エブド社が襲われ、10数名の死傷者を出したところ。事件以降、パリでは軍や警察がセキュリティ強化に取り組んでいた。