ANAHD、15年度上期は純利除き過去最高-訪日客6割増
ANAホールディングス(ANAHD)の2016年3月期第2四半期(2015年4月1日~9月30日)の連結業績で、売上高は前年比6.6%増の9112億円となり、過去最高を記録した。10月28日に開催した記者会見で、同社取締役執行役員の平子裕志氏は「旺盛な訪日需要と円安により、国際線を中心に大幅な増収となった」と説明した。
営業費用は事業規模の拡大などによる費用増はあったが、燃油費の減少や、コスト構造改革の効果もあり、3.5%増の8244億円に留まった。その結果、営業利益は49.8%増の867億円、経常利益は72.6%増の829億円とともに過去最高を記録。純利益は50.9%増の539億円だった。
航空事業の売上高は6.2%増の7880億円で、営業利益は56.5%増の811億円だった。国際線は北米線などでビジネス需要が好調に推移したことや、中国、アジア線を中心に訪日需要を積極的に取り込んだことで、旅客数が13.1%増の406万2000人、旅客収入も10.1%増の2596億円と2桁増になった。平子氏によれば、訪日客は66%増で、国際線の乗客の4分の1強を占めた。伸び率が最も高かったのはリゾート線で「規模は少ないが2倍に増えた」という。このほか、欧米線は85%増、中国線は80%増、アジア線は50%増、北米は40%増となった。
国際線の旅客単価は燃油サーチャージの値下げなどにより2.6%減と減少。座席供給量を表す座席キロは6.5%増、旅客輸送量を表す旅客キロは10.9%増で、利用率は3.0ポイント増の72.9%だった。
一方、国内線は北陸新幹線開業の影響に加え、7月以降に発生した台風による欠航などもあり、旅客数は0.6%減の2155万1000人と前年を下回った。旅客収入は需要動向に応じた運賃の設定などにより旅客単価を上げるよう努めたことで2.1%増の3532億円となり、旅客単価も2.7%増となった。このほか、座席キロは1.1%減、旅客キロは0.7%増、利用率は1.2ポイント増の64.1%となった。
マイレージや機内販売、整備受託やバニラ・エア(JW)の収入などからなる航空事業におけるその他の収入は19.9%増の961億円。JWでは国内外での需要喚起のためのキャンペーンや、航空券の販売時期の前倒しなどの取り組みを実施。航空券を取り扱う旅行会社を増やすことで、旅行者の利便性の向上に努めた。旅客数は57.2%増の89万6000人、座席キロは57.0%増、旅客キロは82.3%増、利用率は12.0ポイント増の86.7%となった。
航空事業以外では、航空関連事業では羽田や関空での空港地上支援業務の受託増などで、売上高は5.1%増の1144億円となったが、貨物の取扱量の減少などから営業利益は18.6%減の42億円に。旅行事業は、売上高は0.6%減の884億円、営業利益は1.3%増の28億円となった。国内旅行では「ANAスカイホリデー」で北海道や沖縄方面を中心に取扱高が増加した。一方、海外旅行では「ANAハローツアー」が欧州を中心に伸び悩んだ。訪日旅行は台湾や中国からの旅行者を取り込んだことで、取扱高は前年を上回った。
商社事業は売上高は16.8%増の715億円、営業利益は66.0%増の30億円。訪日客の増加によりリテールが好調に推移したほか、食品、航空・電子部門でも売上高が前年を上回った。
通期連結業績の予想は変更せず、売上高は1兆7900億円、営業利益は1150億円、経常利益は900億円、純利益は520億円のまま据え置く。平子氏は「米中の景気の動向によっては、経済環境にかなり変化が出てくる」と海外の景気動向に懸念を示した。また、第2四半期は訪日客が伸びたが、15年の冬ダイヤなどで日中間の路線が増加したことにより、需要と供給のバランスが変化する可能性を示唆。「下期は低需要期でもあるので、(業績予想を)慎重に見ている」と語った。