関東全域での訪日外客取り込みを呼びかけ-ツーリズムEXPOシンポ

  • 2015年10月15日

関東運輸局長の浜勝俊氏  関東運輸局はこのほど「ツーリズムEXPOジャパン2015」で、有識者による「関東エリアにおける観光魅力向上のためのシンポジウム」を開催した。シンポジウムでは外国人向けの情報サイト「ジャパンガイド」を運営するエクスポート・ジャパンの松本恵利子氏が外国人から見た関東エリアの魅力と課題について述べたほか、中部広域観光推進協議会本部長の八木正義氏が「昇龍道プロジェクト」における成功事例を紹介。そのほか関東運輸局が、4月から実施している「関東観光広域連携キャンペーン」について説明した。

 関東運輸局長の浜勝俊氏は冒頭で、関東エリアでは東京と神奈川に訪日外国人旅行者が集中している現状について述べ、他地域への誘客を促すためには「関東全域で観光プロモーションに取り組む必要がある」と強調。増加する訪日外国人旅行者を全域に取り込んだ上で「2020年の東京オリンピックに備えるべき」と述べた。

エクスポート・ジャパンの松本恵利子氏  エクスポート・ジャパンで「ジャパンガイド」のチームリーダーを務める松本氏は、外国人旅行者は1回の旅行で多くの観光地を巡るために「広域にわたった旅行計画を立てる場合が多い」と述べ、自治体や企業は広域での観光事業に取り組むべきと訴えた。同氏は関東エリアについて「ジャパンガイド」のアクセス数の3分の1を占めており、「情報のニーズが高い」と説明。自然や歴史的な名所などの観光素材が揃っており「限られた日数で日本を満喫できる」と評価した。

 一方で同氏は「東京以外の情報が少ない」と指摘し、地方からより多く情報を発信することの重要性を強調。そのほか、成田や羽田からの移動手段の拡充や、観光地や宿泊施設での外国語対応の強化が必要とした。

中部広域観光推進協議会本部長の八木正義氏  中部広域観光推進協議会の八木氏は「観光資源はあるが、海外での認知度が低かった」ことから、中部地域全体によるプロモーションを進めるための「昇龍道プロジェクト」を開始したことを説明。中部エリアの9県が連携して観光ルートを定め、海外の旅行博や物産展への出展で認知度を高めたことをアピールした。他のエリアに向けては「行政の枠を超えてピーアール活動をおこなう必要がある」と呼びかけ、地域全体で観光事業に取り組むことを提案した。

関東運輸局観光部国際観光課長の神村正巳氏  関東運輸局観光部国際観光課長の神村正巳氏は「関東観光広域連携キャンペーン」の内容を紹介。関東エリアの交通網と観光地を融合して、花や温泉などのテーマに沿ったプロモーションを展開している旨を説明した。神村氏は「キャンペーンの実施で『関東ブランド』を確立したい」と宣言し、訪日外国人旅行者向けの名称として「TOKYO & AROUND TOKYO」を決定し、関東エリアに花火をあしらったロゴも制作したことを報告した。