韓国、新世界遺産の百済歴史地区を訴求-忠清南道知事が来日
韓国観光公社(KTO)と同国西部の行政区である忠清南道(チュンチョンナムド)は10月13日、旅行会社向けに「百済文化観光説明会」を共催した。今年7月にUNESCOの世界文化遺産に登録された「百済歴史地区群」などの観光資源を訴求するためのもので、同道からは知事の安熙正(アン・ヒジョン)氏などが来日。約100名の出席者に向けて、日本と歴史的に縁の深い百済の歴史と文化をアピールした。
安氏は冒頭の挨拶で、この日の説明会や2国間の観光交流の活性化のために来日した旨を強調。「旅行を通して日韓の国民が交流を拡大し、友好を深めてほしい」と希望した。また、今回の世界遺産への登録を機に同道としても「新たな旅行商品やプログラムを開発して提案したい。一般市民は新たな商品を求めている」と意欲を示し、日本人旅行者の利便性に配慮してインフラの整備などさまざまなサポートをおこなう考えを示した。
日本側の出席者を代表して挨拶した日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏は、日韓国交正常化50周年の今年は地方都市への送客に注力してきた旨を説明。百済歴史地区群については「日本(の旅行会社)は文化をテーマにした旅行を売ることに長けている。是非期待していただきたい」と述べた。参加者には「パッケージツアーや団体旅行、修学旅行などいろんな切り口で取り上げることのできる旅行先だと思う」と述べ、積極的な商品造成を促した。
この日の説明会ではそのほか、忠清南道歴史文化研究院の百済忠清学研究チーム責任研究員の朴宰用(パク・ジェヨン)氏が百済歴史地区群に関するプレゼンテーションを実施。伝統音楽の継承のために設立された「扶余郡忠南国楽団」はライブ演奏を披露した。
なお、その後の懇親会で乾杯の音頭を取ったKTO東京支社長の康重石(カン・ジュンソク)氏は、今年の1月から8月までの訪日韓国人旅行者数が前年比44%増の約255万人に拡大した一方で、訪韓日本人旅行者数は中東呼吸器症候群(MERS)発生の影響を受け、27%減の118万人にまで落ち込んだことを報告。通年では「200万人を下回る」との見通しを示した。
ただしMERSの影響も一段落したことから、10月以降は5%減程度まで減少幅が縮小していることも強調。今年末までには前年並みに回復するとの観測を示した。百済歴史地区群については世界遺産登録後の8月にエイチ・アイ・エス(HIS)と共同でモニターツアーを企画したところ、応募者が3日間で定員の500人に達したことを説明。「日本の方たちはやはり、歴史や世界遺産を好む」と述べ、「自治体だけでなく、KTOからも積極的に支援する」と語った。康氏によれば旅行会社の商品造成などに対する支援金を「さらに幅広く」拡充するという。