セーバー、日旅アメックスと提携-日本での取組強化
セーバートラベルネットワークは日本市場における、BTM(ビジネス・トラベル・マネジメント)を取り扱う旅行会社への取り組みを強化していく方針だ。このほど日本旅行・アメリカン エキスプレス(日旅アメックス)とパートナーシップ契約を締結。これにより、日旅アメックスはGDSやオンラインの出張管理システムなど、セーバーが提供するソリューションを全面的に導入することとなる。7月1日に導入を開始しており、年内には既存のシステムからの切り替えを終了したい考えだ。
このほど来日した同社ヴァイス・プレジデント グローバルセールス&アカウントマネジメントのラジブ・ラジアン氏は、業界誌などの取材に応え「日旅アメックスとのパートナーシップで日本で展開できることは大変喜ばしい」とコメント。「日旅アメックスの顧客が、セーバーで効率的かつ安全に旅行できるよう手助けしていきたい」と語った。
さらに「今後も我々の多様なソリューションを、BTMを手がける旅行会社に提供し、彼らのビジネス拡大に協力していきたい」との考えを強調。旅行需要の成長が見込めるアジアは重要な市場であるとし、そのなかでも日本市場は「今後のビジネスの発展のために鍵となる」と語った。
一方、日本旅行・アメリカン エキスプレス代表取締役社長の竹村章美氏は契約締結の理由の1つとして「セーバーは優れた最先端のテクノロジーを有しており、パートナーとして信頼できる」点を挙げた。
さらに、「企業などのエンドユーザー向けのサービスが優れている」点を評価。例えば航空券やホテル、レンタカーの予約販売や顧客管理などが可能な「セーバー・レッド・ワークスペース」については「(導入前は)マニュアル対応してきたものがカバーできる」と期待を示した。スタッフのユーザビリティの向上により「数十パーセント規模でのコスト削減を見込んでおり、その分(企業などの)顧客への価格に反映でき、価格競争力が高まる」という。
加えて、10月1日から日本語版の提供を開始した、個人旅程管理ツール「トリップケース」など、スマートフォンやiWatchなどのモバイル端末への対応が充実していることも、契約締結の一因とした。
▽ラジアン氏、GDSの利便性を強調-「アバカス」は当面維持
そのほか、ラジアン氏は、航空会社が自社サイトでの販売を展開し、ルフトハンザ・グループがGDSでの予約・発券に対し手数料を導入するといった動きを見せるなか、GDSの利便性を改めて強調。GDSは航空券に加えホテル、レンタカー、鉄道、クルーズなどさまざまな旅行商材を扱っていることを説明し、「GDSが付加価値のあるサービスを旅行会社に提供でき、サプライヤーにとっても有効な販売チャネルであることは今後も変わらない」と語った。同社日本支社長の中里秀夫氏も「GDSはコンビニエンスストアのようなもの。多様な品揃えで、値段の比較も容易にできる」とアピールした。
このほか、ラジアン氏はアジア太平洋地域のGDSであるアバカスの買収についても言及し、「アジア太平洋地域でのビジネス拡大のための重要な戦略」と改めて強調した。「アバカス」ブランドは当面維持する方針。また、ANAホールディングスとアバカスが日本国内で運営するインフィニ・トラベル・インフォメーションについては「アジア太平洋地域での戦略的パートナーで強固な関係性を築いている」と語り、契約は維持する旨を説明した。