タイ観光大臣、安全を強調-日本人は「全出国者の1割」目標に
タイ国政府観光庁(TAT)は9月24日、記者会見を開催した。来日したタイ観光・スポーツ大臣のゴープガーン・ワッタナワラーングーン氏は、今年8月にバンコクで起きた爆発事件について触れ、「世界から多くのお客様を招くには安全の確保が最も重要なこと」とし、政府と民間が一丸で取り組みを進めていることを説明。現在のバンコクの安全性を強調した。
同氏によると、バンコク市内では軍や警察、観光警察、ボランティアなど6000人が安全の確保のための活動をしており、防犯カメラも事件後は1万台増設し、合計で約5万8000台設置したという。さらに、今回の事件を機に政府と民間が団結しネットワークを作り、地域ごとに会議をおこなうなど官民協働で安全対策を実施していることを紹介。「『タイは平穏で安全』をキーメッセージとし、タイへの信頼回復に力を注ぎたい」と語った。
ワッタナワラーングーン氏によると、8月の爆発事件により、1ヶ月から1ヶ月半程度、訪問者数が減るなど「損失があったことは否めない」が、現在は順調に回復に向かっているという。同氏は10月から12月の予約状況では、世界からタイに来る客は順調に伸びていると説明。2015年の海外からの訪問者数の目標である2880万人は「十分に達成できる、またはさらに多くの方々が訪問する見込み」と自信を示した。TATによると、15年の訪タイ日本人数は130万人前後を目標にしているところ。MICEなどの100人規模の団体のキャンセルで数字は落ち込んでいるが、10月から12月までの予約についてはFITが戻ってきているという。
ワッタナワラーングーン氏は、日本市場の傾向として、まずは企業の出張需要などのビジネス需要が回復し、その後パッケージツアーやFITが続く旨を説明。反政府デモがあった一昨年、昨年などの過去の状況と比較して「より早くビジネス需要が戻ってきており、良好な復旧の方向を示している」と話した。
また、ワッタナワラーングーン氏は今回の来日で、日本の旅行会社10社の社長クラスや日本旅行業協会(JATA)、泰日旅行業協会(TJTA)、このほどTAT総裁に着任したユッタサック・スパソーン氏と意見交換会を実施したことを報告。16年、17年の目標として、日本の全出国者数の1割がタイを訪問するよう、旅行業界関係者と協力して取り組みを進めていくことで合意したことを説明し、「出国者数が年間1700万人であれば、170万人をタイに迎えたい」と語った。また、意見交換会ではタイからの訪日外客数が増加傾向にあり、今年は60万人から70万人にのぼる予想を伝え、ツーウェイツーリズムの重要性も訴えたという。
このほか、プレスミーティングでは、タイで富裕層向けの訪日旅行などを取り扱うO2 Asia Travel Design社プレジデントの吉川歩氏が登壇。バンコクに15年間住んでおり「バンコクが平穏だということを1人の日本人としてお伝えしたい。知人から『来週に行きたいけれど、バンコクはどう?』と聞かれれば『問題ない』と回答する」と語った。現地サプライヤーなどの話を聞いても「(お客様の)戻りは早いため、悲観的には見ていない」とした。