KNT-CT、業績改善と統合効果アピール、純利30億円へ
KNT-CTホールディングスは9月7日、都内で報道関係者と同グループ役員による懇親会を開催した。冒頭で挨拶した同社代表取締役社長の戸川和良氏は、近畿日本ツーリストとクラブツーリズムが経営統合してから3年目の「節目の年」に入り、効果が表れてきている旨を強調。あわせて8月に発表した15年度上半期決算では、海外旅行需要の冷え込みなどにより売上高は減収したものの、各利益は増加していることなどを説明し「通期の最終利益には(期初予想の)30億円を残せる」と見通しを示した。
近畿日本ツーリストとクラブツーリズムの連携による、旅行商品の相互販売や共同イベントの実施などによる相乗効果については「昨年は上期の売上高で14億円だったが、今年は19億円と順調に伸びている」と報告。経営統合が成長に結びついているとアピールした。また、次年度からの中期経営計画については経営戦略統括部が取りまとめを進めていることを説明した。同グループでは年内にも計画を策定する予定。
この日はそのほか、団体旅行、個人旅行、訪日旅行、クラブツーリズムの各事業について、担当役員が現況を説明。団体旅行については近畿日本ツーリスト代表取締役社長の小川亘氏が、スポーツ事業の強化、地域誘客事業への参入、訪日旅行事業の拡大などに努めている旨を説明。スポーツ事業に関しては来年のリオデジャネイロオリンピックの日本代表選手団の派遣業務が決定しているほか、観戦ツアー造成などの取り組みも積極化する。訪日旅行事業に関しては世界40ヶ国のMICE専業会社によるアライアンス「ユーロミック」に日本からは初めて加入したことにより、MICE事業を強化。指定旅行会社に選定された来年の伊勢志摩サミットについても、関連需要の獲得に向け取り組みを進めるという。
近畿日本ツーリスト個人旅行代表取締役社長の岡本邦夫氏は、個人旅行部門について「プレミアムホリデイ」「プレミアムメイト」など、海外・国内を問わず高付加価値型商品に注力していることを報告。また、店舗展開については専門店化の推進や来店予約制の導入などで、店舗が持つ情報や機能の優位性を高めていく考えを示した。
訪日旅行については、執行役員で訪日旅行部長などを務める池畑孝治氏がツアー商品や宿泊予約サービスの拡充、MICEなどに取り組んでいる旨を説明。やはり高付加価値化を進める考えを示した。
クラブツーリズム代表取締役社長の小山佳延氏は、重点項目としてバス旅行、テーマ型旅行、バリアフリー旅行、新規事業の4点を列挙。年間約260万人を取り扱い「新規顧客の入り口」となっているバス旅行に関しては、増車やコースの拡充などに加え、車椅子での乗降が可能なリフト付き大型バスを導入したことを報告した。