クイーン・エリザベスが初の日本発着クルーズ-17年に神戸で
キュナードは2017年3月、客船「クイーン・エリザベス」(QE。9万900トン、乗客定員2081人)で初の日本発着クルーズを実施する。122日間のワールドクルーズの日本寄港時に区間クルーズとしておこなうもの。神戸発着で3月13日から20日までの、7泊8日のクルーズを1本設定した。旅行会社経由で販売をおこなう予定だ。
9月2日の記者会見で、キュナードの日本市場での販売やマーケティングを担当するカーニバル・ジャパン代表取締役社長の木島榮子氏は「キュナードとして画期的なことであり、日本市場にとっては初めてのこと」と喜びを語った。同氏によると、キュナードにとって、アジアの最大のマーケットは日本と香港。QEのワールドクルーズには、区間クルーズの参加を含めて合計約1000人が乗船しているという。同社はアジア市場の拡大に強い関心を寄せているといい、今回のクルーズでさらなる市場拡大をはかる考えだ。QEは2014年のワールドクルーズで初めて日本に寄港。今回の発表により、17年まで4年連続で日本を訪れることになった。
日本発着クルーズを神戸でおこなう理由は、17年に神戸港が開港150周年を迎えるため。また、今年3月に台風の影響で、急遽寄港地を横浜から神戸に変更した際「迅速かつ安全、完璧に受け入れてくれた」といい、そうした質の高いオペレーション能力も理由の1つとした。
QEのワールドクルーズは2017年1月7日から5月8日の120泊122日間で、英国のサウサンプトン発着でニューヨークやパナマ、オーストラリア、日本、東南アジア、アフリカをめぐるもの。神戸発着クルーズでは鹿児島、釜山に寄港し、関門海峡を通過し広島を訪れる。広島から神戸については、瀬戸内海の航行が可能かどうか調整中だ。
会見では、カーニバル・ジャパンキュナード担当営業部長の児島得正氏が、日本発着クルーズのメリットとして、7泊8日の短期間で参加ができる点、神戸発着なので海外への飛行機での異動が伴わず、時差や荷物の負担も少ない点をアピール。ワールドクルーズについては日本人スタッフが乗船し、船内放送も日本語でおこなうという。
神戸発着クルーズは日本市場限定での販売。ワールドクルーズやそのほかの区間クルーズは日本時間9月10日21時に全世界で一斉に発売するが、神戸発着クルーズについては、11月5日から日本の旅行会社経由で販売する予定。旅行会社については、シニア層やラグジュアリー層などを取り扱う旅行会社10社程度を想定している。
神戸発着クルーズ用に提供する部屋数は、ワールドクルーズ全体の予約状況を見て決定する。同社によると、神戸寄港時には既に、7割以上の客室を外国人が使用している見込みだ。児島氏は、今回のクルーズは「日本市場の需要喚起が目的」であると強調。「それなりに大きな数の日本人をお迎えしたい」と語り、14年に神戸に寄港した際、神戸から200人以上が乗船したことを踏まえて「(乗客定員)全体の10%から15%は乗せたい」考えを示した。
なお、クルーズ料金は、例えばワールドクルーズで内側船室が240万1000円から、バルコニー付船室が408万1000円から。神戸発着で内側船室が16万9000円から、バルコニー付船室で37万3000円からとした。