KNT個人、キューバ大使館でセミナー開催-単価の高さに期待
近畿日本ツーリスト個人旅行(KNT個人)は8月19日、都内のキューバ大使館で一般消費者向けに「キューバ旅行セミナー」を開催した。キューバと米国の国交回復などにより、日本でもキューバ旅行への注目度が急激に高まっていることを受けたもの。同社は今年の5月に、海外旅行商品「ホリデイ」では初めてキューバ専用のパンフレットを制作し販売を開始。ホリデイについては全国各地で多くの一般向けセミナーを開催しているが、駐日大使館を利用しての実施は今回が初めてとなる。この日は一般参加者と報道関係者をあわせて40名が参加した。
冒頭で挨拶した同社取締役首都圏営業本部長の大野健氏は「大使館で開催するセミナーによって、キューバの雰囲気を感じ取っていただきたい」と趣旨をアピール。続いて挨拶した同大使館参事官のエリザベス・バルデスミランダ・フェルナンデス氏も「全世界の注目を集める我が国に、是非とも興味を持ってほしい」と呼びかけた。
KNT個人からは3名の商品企画担当者が商品を説明し、世界遺産などの見所をおさえた「しっかり観光型」、バラデロ滞在などを盛り込んだ「リゾート滞在型」、ジャマイカにも寄港する「クルーズで行く」の3つのスタイル別に商品を訴求。「キューバの人気はうなぎ登り」と伝え、早期の予約を呼びかけた。「クルーズ型」については近日中に、キューバ、ジャマイカ、ケイマン諸島、メキシコを周遊する「MSCオペラで行くキューバ・ジャマイカ&西カリブ海とカンクン・リゾート11日間」を発売することも明らかにした。
セミナー終了後に本誌の取材に応えた総務部課長の渡辺啓介氏は、キューバ商品について「規模はまだまだ小さいが、4月頃から数字が上がってきており、今が推し時」と強調。取扱人員が既に昨年の3倍以上に伸びていることを説明した上で「今年は昨年の10倍に達する可能性がある」と述べた。注目度が急上昇していることに加えて、1人あたりの単価が高いことなどから、同社では今後、ヨーロッパ商品などの低迷を補完する商品の一角としてキューバ商品を位置づける考え。
キューバの基本情報や観光の魅力などに関してプレゼンテーションをおこなった、同大使館3等書記官のダミアン・デルガド・バスケス氏は、クラシックカーが走りレトロな雰囲気が漂うハバナ市街や、同国随一のリゾート地のバラデロ、特産品の葉巻やラム、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」などに代表されるキューバ音楽などの魅力をアピール。「日本からは遠いが、今のうちに現地で魅力を確認していただきたい」と希望した。米国からの観光客が急増すれば、現在のキューバの雰囲気は急変することが予想される。
国連世界観光機関(UNWTO)によれば、同国への日本人旅行者数は、2009年から13年までは5420人から7348人までの範囲で推移。同大使館によれば14年についても同程度に収まる見込みだが、今年は入国に必要なツーリストカードの発給件数が急増しており、これまでの数を大きく上回ることが見込まれるという。なお、今年の1月から6月までの全世界からキューバへの旅行者数は前年比21%増を記録しており、増加傾向は今後も続くと見られる。