7月の宿泊業倒産は11件、震災関連2件-負債総額43.8億円
東京商工リサーチ(TSR)によると、2015年7月の宿泊業の倒産件数は前年比8件増の11件となった。前月と比べて6件増加した。東日本大震災関連倒産は2件。
1月から6月までの累計は前年比5件減の38件だったが、1月から7月までの累計では3件増の49件となり、前年を上回った。負債総額は43億8700万円で、前年から41億8600万円、前月から26億6700万円増加した。
TSRによると、7月の倒産は地方を中心とする旅館やビジネスホテルなどが多く、訪日客を受け入れていない業者や、過去に宿泊施設などの設備投資をおこなったが業績回復に結びつかなかった業者、事業が停止状態にあり債務整理のために法的整理に入った業者が目立った。また、急激に経営が悪化して整理に入ったケースではなく、経営不振が続き、整理の方向を模索していたケースが多かったという。
例えば、熊本県水俣市で老舗温泉旅館「山海館」を経営していた山海館は、近隣の観光資源不足やアクセスの不便さで客足が次第に遠のいたことに加え、売上確保のためにおこなった設備投資が負担となった。負債総額は7億6000万円。また、静岡県御前崎市で民宿を経営していた五季は、東日本大震災の発生以降、浜岡原子力発電所近くにあるという立地から風評被害にあい、客足が激減。設備投資に伴う借入金の返済原資を確保できずに破産申請した。
なお、旅行業の倒産は前年比1件減の2件。負債額は8700万円となった。