フィンエアーが大規模ファム、モノデスティネーション化推進
日本人はヘルシンキとラップランドに集中
今後は地方送客を強力に推進
フィンエアー(AY)はこのほど、フィンランド政府観光局などの協力のもと、6月に旅行会社を対象とするファムツアー「夏のフィンランド・メガ研修旅行」を開催した。日本からの旅行者の多くが北欧周遊商品で同国を訪れ、首都のヘルシンキと北部のラップランドに集中する傾向が強いなか、各地の魅力を掘り起こしてモノデスティネーションとしての商品造成につなげることがねらい。AYによれば、過去に実施したファムツアーは大きなものでも20名から30名程度の規模だったが、今回のツアーの参加者は60名以上。一行は7つのグループに分かれて各地を訪れた。
FIT志向の女性がカギに、短期滞在プランの提案も
AY日本支社営業総支配人の永原範昭氏によれば、AYの日本/ヘルシンキ線を利用する日本人の大半はレジャー需要で、そのうち約9割が第3国への乗継客。残りの1割についても8割がオーロラ目当てにラップランドに向かい、2割がヘルシンキとその周辺にとどまっている。「日本からヨーロッパへ最短最速」を謳い、ヨーロッパの約60都市に展開するネットワークで人気を博しているものの、地方への送客についてはまだまだマーケティングが進んでいない状況といえるだろう。永原氏はニュージーランド航空(NZ)在籍時にも同様のファムツアーを実施した経験を踏まえて、今回の大規模ファムを企画したという。
AYでは2014年から、メインターゲットを団体中心のシニア層から、F1層およびF2層にシフト。マリメッコやイッタラなどに代表される洗練された北欧デザインや、AYとフィンランド政府観光局も制作に協力した映画「かもめ食堂」の世界などに魅了される若い女性層に期待をかけている。FIT志向が強く、フィンランド文化への関心も強い層に、ヘルシンキやオーロラ以外の魅力を知ってもらいたい考えだ。
AYの方向性は、フィンランド政府観光局のめざすところとも一致している。今回のツアーに同行した日本局長の能登重好氏は、ここ数年で開拓に成功したFIT型の女性旅行者がヘルシンキを中心に滞在する傾向が強いことから、やはり地方への送客を推進したいと意欲を示す。同観光局は昨年から、一般消費者向けにオーロラの時期だけに限らず春期と夏期のフィンランドの魅力を訴求しているほか、今後はAYやフィンランド空港公団などと共同で「フィンランド・ストップオーバー・プロジェクト」を実施し、短期間の滞在プログラムを50コース提案する計画。これからの5年間で、現在の年間約20万泊を30万泊にまで増やしたいという。
一方、AYは今後の5年間で、日本からフィンランドへの送客を現在の倍の2万5000人、さらには3万人規模へと引き上げることを目標に掲げる。また、3年後を目途に、AYのヨーロッパ行き旅客におけるフィンランド行きの割合を5%増加させ、最終的には20%をフィンランド行きの旅客で占めたいとしている。