JOPA小林会長、日本船の魅力発信強化-規制緩和で商品の多様化へ
このほど日本外航客船協会(JOPA)会長に就任した、商船三井客船代表取締役社長の小林求氏は、7月30日に就任後初の会見を開催した。小林氏は、日本のクルーズ人口が1990年の17万4900人から、2014年には23万1300人まで増加しているが「大変ゆっくりとした成長にとどまっている」と指摘。さらなる発展のために「設立時の原点に戻り、クルーズの旅の魅力に加え日本船の魅力を(国内で)発信していきたい」と語った。
同氏は、JOPAで力を入れていきたいこととして「安全運航」「規制緩和」「クルーズの振興、広報活動」の3点を挙げた。なかでもクルーズの振興と広報活動について特に注力していきたい考え。旅行業界と消費者双方に対した取り組みを継続していく。
旅行業界向けには、日ごろからクルーズの誘致などで業界に貢献した旅行会社や自治体を表彰する「クルーズ・オブ・ザ・イヤー」を継続。また、2003年にスタートした「クルーズアドバイザー認定制度」では、クルーズコンサルタントの認定書交付者数が通算5437人に上ったことを報告し、「認定交付者数1万人に向けて制度の円滑な運用がはかれるよう、努力していきたい」と意気込みを語った。
消費者向けには、14年に全国各地の寄港地で日本船の見学会をおこない、クルーズの魅力を発信したことを紹介。国内69港で115回開催し、計8605名の消費者が参加したという。今年も日本船で行くクルーズ旅行を応募者にプレゼントする「クルーズ・キャンペーン」をおこなうなど、取り組みを続けていく。
さらに、小林氏は外国客船の日本寄港が増えるなか、JOPAとして日本船ならではの魅力を訴求したいと語った。日本船の良さとしては「おもてなし」「食事」「季節のイベントを取り入れた商品」などを挙げた。このうち食事については食器との組み合わせで表現される見た目の美しさや、四季を活かした食材を魅力の1つとして説明。クルーズ商品については四季折々の景色や催事などを取り入れたさまざまなテーマの商品があり「年間を通じて同じものがない」多様性を訴えた。
また、会見で小林氏は、7月1日に緩和された通称「30日ルール」についても言及。今まで外国人船員が勤務する日本籍客船は30日に一度外国の港へ寄港しなければならなかったが、これが60日に延長となったことについて、さらに柔軟な商品造成ができるようになったとメリットを挙げた。その上で「JOPAとしては、より魅力的で充実したクルーズ商品のラインナップに期待している」と話した。