15年訪日客数、約1800万人見込む-上半期は913.9万人
日本政府観光局(JNTO)によると、2015年上半期(1月~6月)の訪日外客数(推計値)は、前年比46.0%増の913万9900人となり、過去最高を記録した。観光庁によれば、推計で7月15日には1000万人を超えたという。昨年に1000万人を超えたのは10月だった。
7月22日の定例会見で、観光庁長官の久保成人氏は「特段の外的要因がなければ、(15年は)1800万人前後が見込まれる好調さ」と喜びを示した。なお、46.0%増の伸びがこのまま年末まで続けば、15年の訪日外客数は1958万3661人となる。
久保氏は好調の要因として、アジア各国の経済成長や円安基調、訪日ビザの取得要件緩和などを挙げた。さらに、JNTOが長期間に渡り展開している訪日プロモーションにより、旅行先としての日本の認知度向上も一因との見方を示した。
上半期においてもっとも増加したのは中国で、前年比116.3%増の217万8600人。また、中国に韓国、台湾、香港を合わせた東アジア主要4市場は、58.3%増の648万2000人となり、久保氏は「極めて高い伸びを示しており、全体に大きく寄与している」と語った。また、今年は北米や欧州など「比較的遠距離の地域からの訪日客数も増加している」傾向があると指摘。英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペインの欧州主要5市場計では19.8%増の37万人となった。
6月単月の訪日外客総数は51.8%増の160万2000人で、6月として過去最高を記録。中国が167.2%増の46万2000人となったほか、米国が16.2%増の10万2100人となり、欧米豪市場で初めて単月で10万人を超えた。
好調さに喜びを示す一方、久保氏は訪日外客の受入環境の整備が課題であるとあらためて強調。空港や港湾の整備と容量の拡大、CIQ対応、宿泊施設の容量拡大、貸切バス問題、無料WiFiの整備、多言語対応のさらなる強化などをあげ、訪日2000万人時代に向けて「1日も早く体制を作っていかなければならない」と語った。
また、同氏は地方との連携強化についても指摘。国土交通省は7月から地方運輸局の組織改正を実施し、全国の9つの運輸局に「観光部」を設置。観光専任の観光部長を据えるとともに、観光企画課、国際観光課に加え、四国運輸局以外の8つの運輸局に観光地域振興課を置くなど体制を強化した。観光部では今後、訪日外客受け入れのための環境整備の促進や、広域観光周遊ルートの形成・発信、免税店の増加や観光関連産業の拡大などを担当していく。久保氏は観光部が中心となり、公共団体や観光関連団体などとの連携した取り組みを進めるとともに、地域の現状を観光庁にフィードバックするよう働きかけていくとした。