生産性向上へ労務委設置 日本旅館協会が総会、会員拡大へ入会金も廃止
日本旅館協会(2872会員、針谷了会長=滋賀県おごと温泉・湯元舘)はこのほど、東京・竹芝のホテルインターコンチネンタル東京ベイで2015年度総会を開き、(1)定款の変更(2)14年度事業報告と決算(3)15年度事業計画と予算-などを審議、承認した。
定款の改正では、会員拡大を図るため入会金を廃止したほか、これまで理事会承認が必要だった委員会の設置を正副会長会の承認事項に変更した。同会ではテーマごとに設置した委員会を中心にした事業推進を行っており、新たな課題への対応をスピーディで臨機応変に行う狙い。
14年度は総務、観光立国、クレジットカード、IT戦略の4委員会で事業を進めてきたが、15年度は新たに労務委員会を設置し、旅館業界の人手不足や生産性向上への対応に取り組んでいく。労務委員長には、今年4月に全旅連青年部長を退任したばかりの山口敦史氏(山形県天童温泉・ほほえみの宿滝の湯)を抜てきした。山口労務委員長は「一からの勉強ですが、期待に応える仕事がしたい」と抱負を述べていた。
14年度の決算報告では、従来別会計だった日本旅館協会事業が取り扱う旅館賠償責任保険等の手数料収入を同協会会計に計上するなど収支を改善したことや、NHK受信料関連の手数料のうち30%を地方連合会に交付するなど、地方組織を財務面で支援していることなどが報告された。
針谷会長はこの1年の活動を報告するなかで「会務の立て直しと収支の改善ができた」と成果を強調。会計に発生主義を導入したことや、同会のネット予約サイト「やど日本」の維持管理費を年間1千万円から8万円に圧縮できたことなどを紹介した。
また、引き続き「会員目線の運営」を心掛けるとしながら、15年度については「サービス産業の効率化が国をあげてのテーマにもなっている。旅館業界の労働生産性を高める取り組みに着手する」と新たに労務委員会を設置したことに理解と協力を求めた。
そのほか15年度もネット集客の向上、クレジットカードの手数料率引き下げ、オープンウェブの利用拡大、耐震問題などに取り組んでいく。
(15/07/17)
情報提供:トラベルニュース社