地旅と歩んだ5期10年 池田孝昭さん(全旅前社長)(1)

 全旅は6月23日の株主総会で池田孝昭さんから中間幹夫さんへ社長をバトンタッチ。池田さんは2005年の社長就任以来、同社では最長となる5期10年に渡って務めた。特に、16年前に観光業界で初めて着地型旅行を提唱して以降、着地型旅行を独自ブランド「地旅(じたび)」と称し、旅行業の未来像は地旅にこそあると一貫して唱えてきた。その足跡はミスター地旅そのもの。今後は取締役会長として全旅を支えていく。池田さんに5期10年を振り返ってもらった。

 「地域あっての旅行業」への強い意識

-長い間お疲れさまでした。10年間を振り返っていかがですか。

 時が経つのは早いもので、あっという間に過ぎたような気がしています。この10年、いろいろな事業を展開してきましたが、つつがなく過ごすことができたのはひとえに役員、職員、ANTA(全国旅行業協会)会員の皆さんの大きなご理解と支えがあったからこそです。重責を果たすことができたことに改めて感謝申しあげます。

 -在任中、着地型旅行(地旅)には特に力を入れてこられました。

 着地型旅行を発表してから16年になりますが、それまでの旅行形態とまったく逆発想の提案でした。半世紀に及び発地型で事業展開してきた会員にとって、着地型は戸惑いもありました。どうすれば意識改革ができるかを考えた時に、広く訴える場が必要だろうと国内観光活性化フォーラムの開催を思いつき、全国の皆さんに呼びかけて第1回を2003年に大分県で開催しました。

 当時は参加者が500名、何の勉強だろうと疑心暗鬼に参加した方が多かったのですが、その趣旨が伝わって2回目以降は回を重ねるごとにたくさん参加するようになりました。

 その動きは、我々会員もさることながら車の両輪である受入施設さんが興味を持たれることになりました。地方行政、観光庁にも理解をいただき後援までしていただくようになりました。

 今、地方の活性化が大きく叫ばれています。私どもの地旅、着地型旅行はまさに地域の活性化とも両輪なのです。地域が元気にならないと我々の事業も拡大をしない、地域あっての旅行業です。その観点から考えると、着地型旅行がいかに地域の活性化に大事であるのかを確信しています。

(15/07/09)


情報提供:トラベルニュース社