インドネシア、観光ビザ緩和-15年は日本人50万人へ
インドネシア共和国観光省は、6月から開始した観光ビザの取得要件の緩和にともない、日本での周知徹底と、観光プロモーションの強化をはかる方針だ。今回の緩和措置は、日本を含む30ヶ国からの観光目的の渡航者に対し、30日以内の滞在の場合ビザを不要とするもの。
7月7日に都内で開催した「インドネシアセールスミッション2015」では、来日した同省国際プロモーション総局アジア・パシフィック観光プロモーション部長のヴィンセンシアス・ジェマドゥ氏が、日本はインドネシアの主要5市場の1つであると語り、重要性を強調。「観光ビザの緩和は日本市場にとって良いニュース」とし、日本人訪問者数の増加に期待を示した。今後は各空港で日本語での観光ビザの要件緩和に関する案内の掲出を検討するほか、日本国内で開催するイベントや、国内メディアを活用し、観光ビザの緩和について周知徹底をはかる考えだ。
インドネシア政府は2019年の海外からの旅行者数として2000万人を目標に掲げているところ。14年は940万人が訪れており、15年は1200万人をめざす考えだ。また、日本人訪問客数は前年比1.54%増の48万6687人で、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、中国に次ぐ第5位。15年は50万人をめざす。
ジェマドゥ氏によると観光ビザは、ジャカルタ、バリを含む5つの国際空港と、ビンタン島のスリ・ビンタン港を含む4つの国際港の合計9ヶ所で出入国した場合に免除される。渡航目的は現在観光に限定しているが、今後1年間の状況を見て、ビジネス客への拡大など、さらなる緩和の可能性などを検討する。16年には対象国としてさらに30ヶ国を追加する計画も検討中だ。
さらに、インドネシア運輸省では、今後3年以内に新たに19空港を建設するとともに、4年半以内に既存の22空港をリノベーションする予定。これらの空港のなかからビザ免除の対象となる出入国地を選定する計画だ。
また、ジェマドゥ氏は日本での観光プロモーション策について言及。主に自然と文化の魅力を訴求していく考えで、例としてダイビングなどのマリンスポーツと、東インドネシアの文化をあげた。東インドネシアについては、インドネシアの人口の約8割がムスリムであるなか、東インドネシアの人口の9割はキリスト教徒であるといい、文化の独自性を魅力として訴えたい考えだ。
このほか、ジェマドウ氏は、インドネシア国内で進めている旅行者の受入環境整備についても説明。インフラ面では、新しい道路や、無料WiFiの整備を進めているほか、国内34州に対して予算を組み、トイレの清掃業務を民間業者に委託するなど、衛生面における改善にも取り組んでいるという。
なお、セミナーでは日本旅行業協会(JATA)事務局長の越智良典氏が登壇し、「ビザの緩和は大きなチャンス」と期待を示し、インドネシアのプロモーションに協力する姿勢を見せた。さらに、参加した旅行会社に「主軸のバリだけでなく、さまざまな魅力を取り入れた商品を造成し、日本人の旅行者を増やしてほしい」と呼びかけた。