中部、主要3空港に対抗せず独自路線追求-新社長が会見
このほど中部国際空港の代表取締役社長に就任した友添雅直氏は、7月6日に都内で記者会見を開催し、今後の中部の事業展開について方針を示した。路線開設と需要の確保を最重要課題として掲げた友添氏は、他空港との競争については「どこも積極的な投資をおこなっているが『成田や羽田、関空に対抗して…』とは考えていない」と説明。空港と名古屋市内を30分以内で移動できるほか、訪日外国人旅行者にとっては京都へもアクセスしやすいロケーションの良さなど、他の主要空港にはない中部ならではの良さを追求し、利用者の満足度のさらなる向上に務める考えを示した。
代表取締役副社長の各務正人氏は、関空から入国して中部から出国するなど、訪日外客にはさまざまなルートで中部の利用を訴求できると説明。東京から新幹線で北陸入りし、高山、名古屋へと抜けるルートなど、新たな旅行の形で中部を活用できる術があるとした。友添氏は昇龍道がこのほど、観光庁の訪日外客向け広域観光周遊ルート形成計画に採用されたことについても述べ、「中部地方は関東や関西に比べて認知度が低くなりがちだが、中部は空港として使命を果たしていきたい」と意欲を示した。
路線展開については、国際線ではインバウンド需要の成長が見込める極東アジアや、東南アジアを中心に拡充をはかりたい考えを表明。中国東方航空(MU)や中国南方航空(CZ)、春秋航空(9C)の路線開設が相次いだことなどにより「中国人旅行者や航空会社からの認知度も上がってきた」との自信を見せた。欧米路線については、経済問題や安全性の面で懸念があるとの見方を示しながらも「継続して航空会社とコンタクトし、チャンスがあれば積極的に進める」と述べた。
一方、国内線については、現在は運休となっている東北路線を復活させたい考えを示したほか、フジドリームエアラインズ(JH)が16年以降に中部への就航を検討していることについて言及。「JHが就航すれば大変嬉しい」と歓迎の意を示した。
懸案となっている2本目の滑走路建設については「地道に必要性をアピールしていく」考えを表明。計画が延期されている新ターミナルの建設については「需要がどこまで見通せるか、将来を見据えて考えたい」とコメントした。新ターミナルの建設については、各務氏も「後手に回ってはいけないので、準備だけはしておきたい」とコメント。「必要なシュミレーションなど、さまざまなケースの検証を積み重ねている」と伝えた。
友添雅直氏は1954年生まれの61歳。77年にトヨタ自動車販売(現トヨタ自動車)に入社し、米国トヨタ自動車販売などを経て、2011年に同社専務役員およびトヨタモーターノースアメリカ上級副社長に就任した。12年からはトヨタモーターセールス&マーケティング代表取締役社長を務めていた。