夏の海外旅行者数は1.9%減、円安や感染症など影響-JTB調査
ジェイティービー(JTB)がこのほど実施した夏休み(2015年7月15日~8月31日)の旅行動向調査で、業務渡航を含む海外旅行者数は前年実績の推計比で1.9%減の255万人の見込みとなった。JTBによると、円安基調が継続していることや、国際情勢や感染症などの影響により、前年を下回る予想だ。平均費用は0.7ポイント増の25万1500円だった。
方面別訪問者数の推計では、中国が1.9%増の32万1000人と最も多かった。また、今年の夏はハワイと台湾が継続して人気といい、推計でもハワイは0.9%増の23万4000人、台湾は2.2%増の18万5000人とともに前年を上回った。
また、オーストラリアも1.9%増の5万4000人と伸長。JTBでは、航空路線の拡大や、日豪経済連携協定(EPA)の締結による業務渡航の増加などが要因と分析している。
一方、円安や国際情勢の影響などで、欧州方面は1.4%減の43万2000人、マレーシアは5.7%減の3万3000人と減少。感染症への懸念から、韓国も19.2%減の25万7000人と前年を下回る見込みだ。
出発日は、JTBのツアー予約状況を見ると、欧州などの長距離方面は8月8日、ハワイや東南アジアなどの中距離方面は8月12日、台湾やグアム・サイパンなどの近距離では16日が人気となった。また、今年は6年ぶりにシルバーウィーク(9月19日~23日)があることから同時期に旅行を計画する人も多く、期間中の予約状況はルックJTBが80%増、国内旅行のエースJTBが188%増と大幅に増加した。
このほか、今後の旅行支出に対する意向では「支出を増やしたい」が16.0%増と前年に比べ3.5ポイント成長。夏期ボーナスの増加で所得の向上が見込まれる点などが一因との考えだ。「単価も回数も同程度」は0.4ポイント減の34.4%、「支出を減らしたい」は2.8ポイント減の27.5%、「単価を減らし回数を増やす」は0.3ポイント減の12.3%、「単価を増やし回数を減らす」が0.2ポイント減の5.9%となった。
また、同行者に関する質問では「夫婦のみ」が4.3ポイント増の19.1%、「三世代」が1.2ポイント増の7.8%、「家族と友人・知人」が4.4ポイント増の10.3%と増加。一方、「子供づれ(中学生まで)」は4.0ポイント減の32.3%と減少しており、JTBでは光熱費や日用品などの値上げが影響しているとの考えを示している。
なお、調査は旅行動向アンケート、JTBグループの販売状況、航空会社の予約状況、業界動向、経済動向から推計したもの。旅行動向アンケートは6月3日から15日にかけて、全国200地点で15歳から79歳までの男女を対象に個別訪問で実施しており、サンプル数は1200名。