中部、14年度の営業利益は4.4%増-経常利益は過去最高
中部国際空港が発表した2015年3月期(2014年4月~2015年3月)の連結業績によると、売上高は前年比7.1%増の492億8000万円、営業利益は4.4%増の56億7000万円となった。
営業費用は、商業事業の好調な売上に合わせて仕入費用が増加したほか、経年劣化に伴う施設維持費や「開港10周年事業」の広告販促費の増加などにより、7.5%増の436億1000万円。経常利益は営業外費用での有利子負債の圧縮と借り換えによる調達金利の引き下げなどで、支払利息を2億円以上削減し、過去最高となる13.2%増の43億2000万円となった。純利益は前年の累積損失の解消により、法人税などの計上が通常化したことで16.9%減となったものの、27億6000万円と5期連続の黒字を達成した。
売上高のうち、空港事業は2.8%増の258億9000万円で、このうち国際線は3億5000万円、国内線は1億3000万円、その他関連事業は2億2000万円といずれも増収。
航空旅客数は0.3%増の990万人で、国際線はデルタ航空(DL)のマニラ線運休に伴う通過客の大幅な減少や日本人の海外旅行需要の低迷もあったが、拡大する訪日外国人需要を積極的に取り込み、0.8%増の450万人。また、国内線は座席供給量が前年を下回った一方、LCCの新規就航による新たな需要を創出したことなどで0.1%減の539万人と前年並みを維持した。
航空発着回数は2.0%増の9万2000回。うち国際線は香港エクスプレス(UO)の新規就航や日本航空(JL)のバンコク線の再開などにより5.9%増の3万4000回と伸びた。国内線はJLの釧路線の再開やジェットスター・ジャパン(GK)の熊本線就航などがあった一方、スカイマーク(BC)の一時的な減便などもあり0.1%減の5万8000回となった。
このほか、商業事業は訪日外国人の需要を取り込めたことなどで、14.4%増の210億円と2桁伸長。14年10月の消費税免税販売制度の改定に合わせた非制限エリアでの免税販売に対応する店舗の拡充や、「開港10周年記念事業」に関するイベントの開催などが収益に貢献したとの考えだ。一方、交通アクセス施設事業は日本人の海外旅行需要の低下や消費増税時の価格据え置きなどが影響し、3.5%減の23億8000万円だった。
2015年度の売上高は14年度比1.5%増の500億円、営業利益は2.3%増の58億円、経常利益は4.2%増の45億円、純利益は5.8%減の26億円を見込む。航空旅客数は2.0%増の1010万人と想定し、このうち国際線はDLのマニラ線運休による北米/フィリピン線の通過客減少を見通す一方で、中国路線を中心に新規就航や増便が予定されていることから前年並みの450万人を予想。また、国内線はBCが夏までに復便もしくは増便する計画であることなどから、3.9%増の560万人をめざす。
なお、同社では今後5年間に飛躍的な成長を実現させるため、「第2の開港期」として、新中期経営戦略を開始したところ。その初年度となる今年は「新たな成長ステージへと力強く歩み出す年」と位置づけ、様々な施策をおこなっていく。例えば、地域と一体で実施するプロモーション「昇龍道プロジェクト」や空港機能の強化、サービス面の改善などに取り組んでいくという。