スカイマーク再生、ANAHDの出資決定-独立性と「第3極」強調
スカイマーク(BC)、投資会社のインテグラル、ANAホールディングス(ANAHD)の3社は4月22日、民事再生手続下のBCに対し、インテグラルとANAHDが共同支援をおこなうことで合意した。インテグラルが50.1%、ANAHDが最大で19.9%を出資する。3社は同日に国土交通省内で記者会見を開催し、路線展開や運賃設定などについてはBCの独立性を維持しながら再建に取り組み、出資から5年以内にBCの株式再上場をめざす方針を示した。
記者会見でBC代表取締役会長の井手隆司氏は、インテグラルの出資が50%を超える今回の提案を、独立性を維持して「第3極」であり続けるための「ベストの提案」と評価。ANAHD上席執行役員の長峯豊之氏も、「BCは独立した運営をしていくと認識している」と述べ、コードシェアや整備、販売の面でも協力する考えを示した。
長峯氏はそのほか、ANAHDが機材への投資に注力し、エアバスにも多くの発注をおこなっていることを説明。具体策については明らかにしなかったものの、「エアバス社やリース会社との取り引きの面でも、今後のサポートをさせていただきたい」と語った。インテグラル代表取締役の佐山展生氏は、「当初は航空会社の支援がなくても問題ないと考えたが、債権者の方々の同意を得る上で、航空会社の支援が必要な状況になった」と経緯を説明した。
BCは2月4日の民事再生手続の開始決定後、翌5日付でインテグラルと再生支援基本契約を締結。同12日にはGCAサヴィアンをフィナンシャルアドバイザーに任命し、スポンサーの募集と選定を開始している。選定の結果、BCは国内航空会社の再生に携わった経験を有し、販売や調達、整備などさまざまな面でメリットを共有できるANAHDを共同スポンサーに決定した。
今後、BCとインテグラルとANAHDは東京地方裁判所などの監督のもと、基本合意書に基づき、スポンサー契約の締結と再生計画案の策定をおこなう。BCは再生計画案に則り、100%減資を実施した上で第三者割当増資をおこない、インテグラルやANAHDなどが出資して新たな株主となる。出資総額は180億円となる予定で、全額を債権の弁済に充当。なお、申立人代理人を務める弁護士によれば、債権については「3000億円の届出があるが、精査を進めている」という。
残りの出資者についてはインテグラルとANAHDで協議し、東京地裁に再生計画案を提出する5月29日までに決定する。加えて、BCの事業運営に必要な運転資金を確保するため、別途、金融機関からの資金調達をはかる。
なお、再生計画実施後のBCの取締役は6名とし、3名をインテグラル、1名をANAHDがそれぞれ指名。残り2名については、そのほかの出資者も含めて両社で協議し決定する。インテグラルが指名する取締役のうち1名は会長に、ANAHDまたはその他の株主が指名する取締役のうち1名は社長に就任する予定。BC従業員の雇用は原則として維持する。