星野リゾート、開業4施設の詳細発表、地方ならではの魅力訴求
星野リゾートは4月15日、2015年上期の定例記者会見を開催し、年内に開業する栃木・日光の「界 鬼怒川」、石川・山代温泉の「界 加賀」、山梨・河口湖「星のや 富士」と、7月にリブランドオープンする京都・比叡山の「ロテルド比叡」の詳細を発表した。同社によれば「界」の2軒は和風の温泉旅館をコンセプトとし、地域の魅力にこだわったブランド。「星のや 富士」はグランピングをテーマとしたリゾート施設で、「ロテルド比叡」は西洋型のオーベルジュになるという。
設計から自社で担当した「界 鬼怒川」は、伝統工芸品の益子焼をエントランスや客室に設置し、益子陶琴の演奏会を毎夜開催する予定。宿泊には鬼怒川の自然を楽しんでもらうため、駐車場からエントランスまでガラス張りのスロープカーを設置した。客室数は全48室。開業日は11月10日で、宿泊料金は1泊2食付きで1名3万2000円からを予定する。
「界 加賀」は、北大路魯山人など多くの文化人が逗留した旧白銀屋を改築し、伝統とモダンさを融合してリニューアルした。すべての食事で、地元の民芸作家がデザインした九谷焼や山中漆器の食器を使用。客室数は全48室。開業日は12月10日で、宿泊料金は1泊2食付きで1名3万円から。
「星のや 富士」は、自然のなかで快適に宿泊するキャンプとして注目度を高めている「グランピング」をテーマとしたリゾート施設。グランピングは「グラマラス」と「キャンピング」を組み合わせた造語で、火を囲んで団らんできるスペースや、利用者自らが調理できるレストランがあるほか、寝室には空調が完備され、トイレやバスも快適に利用できるという。客室数は全40室。開業日は10月30日で、1室2名利用で1名あたり4万5000円からを予定する。
西洋型オーベルジュの「ロテルド比叡」は、4月に星野リゾートが運営を受託した「ロテル・ド・比叡」を7月1日にリブランドオープンするもの。琵琶湖に近い立地を活かし、固有種による鮒寿司を使用したフレンチなどを提供する。客室数は全29室。料金は1泊2食付き、2名1室利用で1名あたり2万7000円から。
代表取締役社長の星野佳路氏は会見で、増加する訪日外国人旅行者の旅先が一部の都市に集中している状況や、星野リゾートの宿泊施設が地方に多いことなどを踏まえて、今後は「地方の活性化が課題になる」と発言。星野リゾートの各施設でも外国人宿泊客が増えてはいるものの、その割合には地域による差が出ているという。
ただし、「日本人に支持されない国内旅行は長く続かない。外国人だけに受けようとするものは、最終的には偽物に見える」との考えで、訪日外国人旅行者のニーズのみに目を向けるのではなく日本人からの評価を高めることで、結果的に全体的な宿泊客の増加や収益の最大化に繋げる方針だ。