RCI、GWクルーズ堅調、船内イベントで誘客強化
ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)は2015年のゴールデンウィーク、ボイジャー・オブ・ザ・シーズ(13万8194トン)で日本発着クルーズを計3本、片道クルーズを1本実施する。日本総代理店を務めるミキ・ツーリストクルーズカンパニーカンパニー長の糸川雄介氏によると、今年は円安などの影響もあり集客に苦戦したが、船内イベントの強化などで家族層の取り込み強化や新規顧客の獲得をはかったことで「堅調に推移している」という。
クルーズのうち1本目は4月25日から5月1日で、東京発で済州島、博多、名古屋などをめぐり横浜に帰着。2本目は5月1日から6日で、JTBメディアリテーリングが横浜発で済州島、長崎に寄港する東京までのチャータークルーズをおこなう。3本目の5月6日から14日は東京発で沖縄や台湾などをめぐり、横浜に帰着する。また、日本発片道クルーズは5月14日横浜発で、室蘭や伏木富山、境港、仁川を経て天津に着く。
同船の乗客定員は3114名。ただし、糸川氏によるとこれは1部屋2名で換算した場合だといい、実際は4名での利用なども含め最大で約3800名が乗船可能だ。1本目は、日本市場での販売分は全体の9割で、現在約2800名の日本人が予約。外国人と合わせて約3100名を見込む。3本目は7割が日本市場向けで、約2000名が予約。外国人と合わせて約2800名を集客している。片道クルーズは3割が日本市場向けで、600名弱の予約があり、外国人は2000名程度を見込む。
一方、チャータークルーズは日並びの良さもあり3700名と「ほぼ満船状態」にある。糸川氏は「クルーズ市場で、日本人のみが乗るクルーズでは過去最大規模」と喜びを示した。
RCIのGWクルーズは今年で6回目。糸川氏はカボタージュの規制によりスケジュールがある程度限られてしまうといい、クルーズのコースに多様性が出しづらいことを課題として挙げた。同氏によると、顧客は新規開拓をはかってはいるがリピーター層が多いという。
このためRCIでは2015年、船内イベントに注力し、イベントをフックにした新規顧客の開拓と、リピーターへ新たなコンテンツの提供をはかった。同社では2013年から家族層の取り込みを強化しているところで、現在乗客の4割が家族層。今年は家族で楽しめるイベントとして、元日本代表で横浜マリノスOBの水沼貴史さんや元日本代表で横浜F・マリノスアンバサダーの波戸康弘さんを招き、ファンミーティングやトークショーなどを実施。親子サッカー教室もおこなう。なお、RCIは横浜F・マリノスのスポンサーを務めている。
加えて、船内にスケートリンクがあることを活かし、プロフィギュアスケーターの織田信成氏を招いたアイススケート教室やトークショーなども実施。「RCIは若者向けの船で、スポーツイベントを実施している」というイメージを訴求し、ファミリーや若者層の誘客をはかる。
また、糸川氏は日本発着クルーズの客層について言及。飛行機を使わず、荷物を送れば手ぶらで港から乗ることができる気軽さと利便性がメリットであるとし、「国内旅行しかしたことのない人を引き込みやすい」と語った。こうした層へのアプローチをはかるため、同社では大手旅行会社はもちろん、地方をはじめ第2種、第3種の旅行会社にもセールスをおこなっていく方針だ。
さらに、地方については、寄港地発の市民クルーズでの利用が多いとし、今後のさらなる増加に期待を述べた。市民クルーズは、船会社や旅行会社の協力のもと、市が一般に販売されているクルーズのうち客室の一部を専用枠として確保し、住民などに特別価格で提供するもの。糸川氏によると「(港側に)ここ1年“双方向性”という視点が生まれてきており、迎える人達がクルーズに乗る傾向が出てきている」という。
このほか、同氏はカボタージュについて「期間限定で解禁の流れができれば」との考えを述べた。同氏によると、オーストラリアでは認められたシーズンだけカボタージュを解禁。日本国内についても、例えば日本船が世界一周クルーズで日本にいないシーズンなどに限り解禁することで「新しい客層が獲得でき、クルーズ市場のすそのが広がるのでは」と語った。