日中韓、域外客獲得で共同プロモへ-域内は20年に3000万人
日本、中国、韓国の観光担当大臣は4月12日、4年ぶりとなる第7回の「日中韓観光大臣会合」を東京で開催し、3ヶ国の域外からの旅行者の獲得に向け、共同で「ビジット・イースト・アジア・キャンペーン」を実施する計画を盛り込んだ共同声明を発表した。今後は各国の旅行会社などと連携して、共同でデスティネーションの開発や商品開発などを進める。署名には国土交通大臣の太田昭宏氏、中国国家旅游局長の李金早(リ・ジンザオ)氏、韓国文化体育観光部長官の金鍾徳(キム・ジョンドク)氏が署名。新たな数値目標として、2020年における域内観光交流人口3000万人の達成なども掲げた。
同キャンペーンの実施は、前回会合の開催後に18年の平昌冬季オリンピックと20年の東京オリンピックの開催が決定したことや、昨年の世界遺産登録で日中韓ともに登録件数が増加したことなどを受けたもの。声明では「今後のアジアと世界の観光において、日中韓が果たす役割が一層増している」との見方を示した上で、3ヶ国を域外からの旅行者に対する単一のデスティネーションと捉え、民間の関係者と協力して実務者レベルの協議を進めるとしている。会合終了後の会見で太田氏は、15年を「日中韓観光交流新時代の幕開け」と位置付け、「大変実りのある議論ができた。共通の認識を得たと満足している」と総括した。
具体的には、日中韓の政府観光局が欧米などの現地事務所レベルで連携し、共同プロモーションのターゲット層や内容について検討。共同でポスターやパンフレットなどを制作するとともに、旅行会社との商談会などにおいても共同プロモーションを実施する。また、3ヶ国の旅行会社と連携して、モデルコースの共同開発や商品化も進める。そのほか、日中韓の観光当局は域内外を結ぶ交通手段に加えて、域内の周遊のための交通手段についても利便性の向上をはかり、民間と協力して航空路線のさらなる活用や、クルーズ観光の活性化をはかる。
20年の域内交流人口3000万人の達成に向けては、航空路線の充実やクルーズ船の就航促進などに努めるとともに、各国内の交通アクセスの円滑化や通信環境の整備、クレジットカードなどの決済環境の整備など、諸々の利便性向上に向けた対応を強化することを明記した。日中間、日韓間、中韓間それぞれの交流人口の目標については明らかにしていない。日中韓の域内交流人口は、第1回会合開催時の06年時点では約1384万人だったが、14年には約2047万人にまで増加したところ。なお、従来の目標では15年までに年間2600万人の達成を掲げている。
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