JNTO、VJ事業開始、意志決定を迅速化-海外事務所「30ヶ所が理想」

  • 2015年4月1日

JNTO理事長の松山良一氏(左)と観光庁次長の山口裕視氏 日本政府観光局(JNTO)と観光庁は4月1日、これまで観光庁が実施してきた「ビジット・ジャパン事業(VJ事業)」などを、今年度からJNTOが執行機関となって実施することを受け、共同で記者会見をおこなった。JNTO理事長の松山良一氏は、JNTOが海外に14ヶ所の拠点を持つ強みを活かして、「今後は困難だった海外での事業発注が可能になり、現地のニーズに応じた迅速な意志決定が可能になる」と説明。観光庁次長の山口裕視氏は「JNTOとは、より一層連携を緊密にするとともに、適度な緊張感を持って政府目標に取り組んでいきたい」と述べた。VJ事業の移管は、2013年12月の閣議決定を受けたもの。

JNTO理事長の松山良一氏 松山氏は、これまでの体制下では観光庁が主体となり、JNTOに監督を委託した上で、日本国内から海外事業者との契約をおこなっていたため、意志決定に時間を要していたことを説明。今後の事業展開においては、迅速かつ臨機応変な対応が可能になると考えられることから、「現場力が向上し、機会を逃さない」体制が構築できるとの見方を示した。

 JNTOの新たな経営理念としては「国民経済の発展」「地域の活性化」「国際的な相互理解の促進」「日本のブランド力向上」の4つをビジョンとして掲げ、実現をめざすことを約束。具体的には「公正性と透明性」を保ちながら、情報の分析と発信、関係者間のネットワーク構築、新たな市場の開拓、訪日旅行市場の牽引に務めるとした。

 4月以降の新たな本部体制では、既存の4部門を再編して「インバウンド戦略部」「海外プロモーション部」「コンベンション誘致部」「経営管理部」の4部門に改組。このうちインバウンド戦略部においては、「調査・コンサルティング」「受入対策」「誘致戦略」など複数のグループを設けてプロモーション活動を進める。また、これら4部門に加えて、新たに理事長の直下に「監査室」を新設。内部統制や契約管理体制を強化する。

 松山氏は、事業移管による予算増を受けて人員増をおこなったことなどについても報告した上で、今後の海外事業所の増設についても言及。「予算の問題もあるが、徐々に増やしていきたい」とし、「30ヶ所くらいあれば理想的」と説明した。また、今後は東南アジアなどに加えて、ブラジルなど中南米にも拠点を構えたい考えを示した。

 なお、JNTOは3月に開催した国土交通省の分科会を経て、2013年度を初年度とする5ヶ年の中期目標と中期計画を変更。予算や人員などの経営資源を海外事務所に重点的に配分することを決定するとともに、今後はJNTOが提供する商談の目標件数として、年平均2万件以上をめざすことなどを掲げている。