エチオピア航空、ネットワーク活用をアピール、観光客誘致にも意欲
4月22日から週3便で成田/アディスアベバ線を運航するエチオピア航空(ET)は3月26日、エチオピア大使館で日本就航に関する記者説明会をおこなった。同社が日本市場に参入するのは今回が初めて。現在はエジプト航空(MS)が日本線を運休しているため、成田/アディスアベバ線は唯一のアフリカへの定期便となる。同線は香港経由の直行便で、デイリー運航している香港/アディスアベバ線を一部の曜日で延伸して運航する。
挨拶をおこなった日本支社長のメサイ・S・メンギスツ氏は冒頭で、待望の日本進出について「遅すぎたぐらい」と喜びを示し、参加者には同社がサハラ砂漠以南を中心に展開する広範なネットワークを、ビジネスと観光の両方に活用することを要望した。観光客誘致については、同国が数多くの世界遺産を擁していることを説明した上で、「さまざまな観光パッケージを造成している」と説明。猿人の化石人骨が発見されたアワッシュ川下流域などを例に挙げ、「日本では知られていない歴史や文化、自然に満ちている」とアピールした。
同席した駐日全権大使のマルコス・タクレ・リケ氏は、「今回の就航は両国関係を発展させる良い機会」と述べ、特に今後の経済関係強化に意欲を示した。エチオピア国内については、隣国に比べて情勢が安定し、治安も良いことを強調。「多数派のキリスト教徒とイスラム教徒が平和に共存している。政府もセキュリティ強化に注力しており、街にはガードマンも多い」と述べたほか、「経済的には遅れているが、現在では国際的なホテルチェーンの進出も進みつつある」と報告し、日本人が安心して渡航できるデスティネーションであることを約束した。
日本地区旅客総代理店(GSA)を務めるグローバルサービス旅客営業部長でET日本地区総支配人を務める高野哲也氏は、今後の日本市場の見通しについて説明。昨年のエボラ出血熱の流行などにより、直近の日本からアフリカへの渡航者数は「前年同時期比でほぼ半減している」と厳しい状況にあるとしたものの、日本企業のアフリカにおける事業拡大や、9月以降の観光シーズンにおけるレジャー需要の拡大に期待を示した。当面の利用者の内訳は、ビジネス7割に対してレジャー3割を見込むという。また、現在は認められていない成田/香港間のみの航空券販売が可能になれば、日本市場での成長に寄与するとした。
なお、ETは当初、成田/アディスアベバ線の就航時期を昨年12月20日に設定していた。しかしエボラ出血熱の流行によりアフリカ全体のイメージが低下し、アジア/アジスアベバ線のロードファクターに大きく影響したことから、今年4月に延期した経緯がある。ただしETは、エボラ出血熱流行の中心地となった西アフリカのギニア、シエラレオネ、リベリアには就航していないため、現時点で直接的な被害はないという。
この日は、グローバルサービス法人営業部部長の亀田雅子氏がETの概要について紹介。世界84都市に就航するアフリカ最大級の航空会社であることや、2011年にはスターアライアンスに加盟し、昨年10月からは全日空(NH)とコードシェアも開始していることなどを説明した。成田/アディスアベバ線については、最新機材のボーイングB787型機で運航し、往復路ともに15時間程度で到着できること、NHが運航するコードシェア便の成田/香港線、羽田/バンコク線を活用すれば、実質はデイリーで東京/アディスアベバ間を行き来できることを強調した。
そのほかには、アフリカと中近東を専門とするランドオペレーターのゲートオブアフリカから代表の村上新一郎氏が出席し、エチオピア観光の最新情報を提供した。村上氏は、エチオピアへの日本人渡航者数が2009年から11年にかけて3000人前後で推移したことを踏まえて、今後は「少なくとも、年間1万人は訪問していただきたい」と希望。村上氏によれば、日本人渡航者が年間で1万人訪問するアフリカの国としてはケニアなどがあり、同程度にまで人気を拡大させたいという。