新運賃・料金制度の影響と課題-旅行会社とバス事業者が意見交換(1)

 昨年施行された貸切バスの新しい運賃・料金制度について、全国旅行業協会(ANTA)大阪府支部と大阪バス協会が意見交換会を行った。実質急激な値上げになった困惑ぶりやバスの稼働率が低下したことなど制度改正の反動を懸念する意見の一方で、運賃・料金の算出が明確になり新制度を評価する声も挙がった。消費者への告知が不足しているという点では両業界とも意見が一致、近畿運輸局を通じて国土交通省へ具申する。

 消費者へ周知徹底など国へ具申
意見交換会は、ANTA大阪府支部の永野末光支部長が大阪バス協会に申し入れて実現した。近畿運輸局がコーディネーター役を務め、同局会議室にANTA側から11人、バス協会側から15人が出席した。

 近畿運輸局旅客第一課の西川孝秀課長はあいさつで「一部の公営事業者を除き、すべてのバス事業者が新運賃への変更届を出している。ただ現在は新制度前の契約や修学旅行などで旧運賃が適用されているものがあり、新旧の運賃が混在している」と状況を説明。加えて「一部バス事業者から営収は増えているが、稼働が減ってきているという話を聞く。バス、旅行両業界からも値上げ幅が大きいとか、閑散期の配慮をしてほしいという声もいただいている。本日、皆さんの意見を本省の自動車局や観光庁に上げたい」と話し、積極的な意見交換を促した。

 貸切バス新運賃・料金制度について、バス事業者の1人は「これまでは春と秋の観光シーズンに貯めこんだ利益を冬に吐き出していた。数年前まで他の事業におんぶに抱っこ。人件費を落としてようやくトントンで、新制度でようやく息がつける」と歓迎した。

 新制度導入の大きな目的は運転手の労働環境の改善だが、新制度スタートから半年あまり、具体的な賃上げなどにはつながっていない。あるバス事業者は「運賃は上がったが、運転手の確保に困っている」と吐露し、これまで運賃を下げて人手を減らして事業を継続してきたあおりを受けていると話す。

 別のバス事業者も「バブル期の乗務員の年収は600万円ほどだった。それが今は400万円。400万円で人の命を預かる。割に合わないと考える人が多い」と嘆く。「すぐに人件費を上げるまではいかないが、新制度は助かっている。バス会社がもう少し力をつけられるように見守ってほしい」と話す事業者もいた。

 

情報提供:トラベルニュース社