ソウル、市長が来日し誘客アピール、JATAとの連携も強調
韓国・ソウル市はこのほど、低迷が続く訪韓日本人旅行者数の引き上げに向け、都内で「ソウル観光説明会」を開催した。冒頭で挨拶をおこなったソウル市長の朴元淳氏は「説明会をきっかけに、東京・ソウル間の関係が緊密になり、身近な友達のような都市になるよう最善を尽くしていきたい」と意欲を示した。
その後のセミナーでは、朴氏自らがプレゼンテーションを実施。朴氏は「ソウルと東京は非常に親しい関係にあり、ソウルを1度訪れた日本人は何度もソウルを訪れる」と述べ、中国や台湾などに比べて日本の再訪率が圧倒的に高いことを説明した。
朴氏は「再発見」「グルメ」「ステイ」「エンターテイメント」の4つをテーマに掲げて、ソウルの新たな魅力を紹介。「再発見」については18キロメートルある城壁を1日で周ると願いが叶うという漢陽都城や、女性向けのカフェや工房が多い西村などアピールした。また、「グルメ」では安い値段で新鮮な食材が手に入るという鷺梁津水産市場や、ワンコインで好きな食べ物を選択できる通仁市場の「お弁当カフェ」などを紹介した。
「エンターテイメント」ではキャンプ場や様々なイベントが開催される漢江を取り上げたほか、5000人が250トンのキムチを同時に制作するイベント「ソウルキムジャン文化祭り」を観光素材の1つとして提案した。「ステイ」についてはソウル・ロイヤル・ホテルやロッテホテルなどの主要ホテルに加え、韓国の伝統的な家屋を使用した「韓屋ステイ」や、ソウルの一般家庭でのホームステイも提案した。また、MICE誘致についても言及し、「ソウルは現在、MICE開催数で世界第4位」と報告するともに、「MICEの世界3大都市に入ることを夢見ている」と意欲を示した。
このほか、JATAの関係については、「常時協力できるシステムを構築していきたい」とコメント。コミュニケーション強化に向け、ホットラインを開設している旨を伝えた。
日本旅行業協会(JATA)理事長の中村達朗氏は2014年を振り返り、「日本から韓国への訪問者数は228万人で、1番多かった一昨年に比べ17%減少した」と報告。「JATAでも市長の協力を得て、韓国300万人キャンペーンを実施したが思うように成果が上がらず厳しい1年となった」と述べた。一方で、今年は日韓国交正常化50周年の節目の年であることから、「記念すべき年に、韓国に訪れる旅行者を昨年の50%増の350万人にすることをめざし、『日韓国交50周年プロジェクト』を立ち上げた」と説明。今後は、2014年末に実施した韓国へのメガFAMツアーを皮切りに、様々な施策を実施していく方針を示した。
この日はそのほか、日本政府観光局(JNTO)理事長の松山良一氏が来賓として登壇。「昨年の日本と韓国の相互交流は503万人に上るが、韓国と中国の相互交流は既に1000万人を超えている」と指摘した上で、日韓間のさらなる交流拡大が必要との見方を示し、「我々の目標は700万人」と明示した。また、出席者には「ソウルの良さを知ってもらい、これを契機に相互交流が回復するものと期待している」と協力を求めた。